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注 イラストのランクはバラバラです。 サイズも少し違う時があります ひぐらしのなく頃に(C系なし) うみねこのなく頃に(C系なし) 彼岸花の咲く夜に ひぐらしのなく頃に(EX、ペアEX) うみねこのなく頃に(EX、ペアEX) 彼岸花の咲く夜に(EX、ペアEX) ひぐらしのなく頃にC系 うみねこのなく頃にC系 ひぐらしのなく頃にEXR うみねこのなく頃にEXR ひぐらしのなく頃にDXR うみねこのなく頃にDXR
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「勘だ――――」 たった三文字の言葉なのに、私の心は大きく揺れ動いていた。 少し前まで組んでいたはずの腕も、いつの間にか離れていて、前原圭一は私の目をえぐるような視線で対峙している。 親族でさえ私と姉こと魅音の区別を明確にすることはできない。 幼い頃から『入れ替わることを茶飯事に行っていた私たち』なのだから、癖だとか仕草さえ同一なはずなのだ。 確かに私は二年弱の牢獄ばり学園生活――実体験からの比喩だから笑えてくる――を送ったし、魅音と言えば鬼婆のもとで、次期頭首としての教育を受けたのだろうから、空白の時間が生まれているのも事実だ。 だからと言って、雛見沢に戻ってきてからの一年間で、入れ替わりがバレたことは一度もないのに加え、この圭一と言う男はまだココにきて一ヶ月と言っていなかったか。 ある意味強固な自信とさえなっていた姉との入れ替わりが、『勘』なんて言う不明確な理由で看破されたことに、私はただうろたえるしかない。 ぎりっ、と歯ぎしりの音が頭に響く。 扉一枚の向こうには、この男に病みつきとなっている姉が居るのだ。今の前原圭一が存在する以上、姉は前原圭一のことだけを考えるようになるだろう。 口先八丁で、妙に仲間を強調し、部活の罰ゲーム常連のこの男に、姉は一層のめり込むだろう。 それを私は許してはいけない。 魅音と詩音が限りなく近い存在だからこそ、ミオンとシオンに狂いがあってはいけないのだ。 今回の場合正しいのは明らかに私。悟史くんはずっと雛見沢に住んでいるのに対し、都会から来た余所者に魅音が恋心を抱くのは困る。 周囲の人……、それは園崎家を含めてだが、私まで彼に恋愛の感情を抱いていると勘違いされかねない。 絶対に崩れていけない牙城を守るためなら、私は前原圭一を排除することさえ躊躇わない。絶対に。何が起きようとも。 圭一は不思議そうな表情を浮かべて、黙りこくった私を見つめていた。 くそ、これもだ。 この悟史くんと共通するような仕草の一つ一つが、私の感情を逆撫でにする。 何も知らないくせにすべてを知っているような行動。 知ったかぶりなら否定できるからまだしも、本当に知らないのだからタチが悪い。やり場のない怒りとはこのことだ。 とりあえず私は、姉に前原圭一が魅音と詩音の区別をつけることが出来る、なんて最高級の好材料を提供するわけにはいかない。 元々このぬいぐるみを買ってほしい、なんてのは話の流れで生まれたものだ。 スルーしたって圭一に問題が生じるわけではないだろう。 「へぇ……、圭ちゃんがそんなシックスセンスを持ってるなんて知りませんでした。私もおちおち圭ちゃんの前で、悪いことは出来ませんねぇ」 ぬいぐるみが並ぶショーウィンドウから離れつつ歩き出す。 圭一にとって『魅音と詩音の区別』は、それほど大きな事項であることに気づいていない。 会話に引き入れつつ無かったことにするのが得策だと判断した。 「おい、詩音。お前まさか魅音になりすまして、とんでもないことしてないだろうなぁ」 圭一は苦笑するような口調で私に返答する。きっとダム戦争時代の凶行がバレているのだ。 あの時は確かに姉を頻繁に使わせてもらった。 今でもそんなことをされては、圭一もおちおちと…………。 あれ……、私は今どう言う思考をしようとしたのだろう。 落ち着いて……冷静に……クールになって、いつもの詩音になって考える。 圭ちゃんは、詩音と魅音が違っては何か困ることがあるのか? 圭ちゃんが、詩音と魅音で対応の仕方が違うのか? こんなにも似ていて、同じと言ってもおかしくないほどの双子なのに、前原圭一はシオンとミオンを別個にする必要がある? 疑心暗鬼の渦がうごめいているのがわかる。 頭の中で前原圭一と園崎魅音が浮かび、消え、浮かび、消える。 腹立たしかったのは浮かぶのも消えるのも、常に二人は一緒だったことだった。 六月二十二日。教室には空いた席が四つ存在していた。 都会に居た頃とは比べものにならない濃密な時間。 俺にとって都会で過ごした十数年よりも、はるかにこの一ヶ月が重要な役割を占めるに違いない。 そしてその時間を作ってくれた大切な部活仲間(メンバー)。 その一人たりともこの教室には居なかった。 クラスの中心となっていたあいつらが居なくて、綿流しから数日経っていない、と言う事情。 この二つで充分、もう彼女らに会えないことが分かってしまう。 クラス中の子供たちが時々すすり泣くのも、当然これが原因であろう。 だが――――、俺にはまだかすかな希望を信じて、決して泣くことはしない。 まだ俗に言う『鬼隠し』など認めてたまるものか。 鬼に隠されたのなら、その鬼から何が何でも連れ戻してきてやる。 またあの『日常』を取り返すのだ。 スリルなどいらない。 変調も厭だ。 事件にも拒否権を行使する。 この『オヤシロ様』と言う盾を使った、すべてにケリをつけてやる。 終業のベルが鳴った。いつもなら隣にレナと魅音が居て、校門の所で沙都子と梨花ちゃんに別れを告げる。 他愛もないことで会話が盛り上がり、水車小屋で魅音と別れる。 週一ぐらいでレナの宝探しに付き合い、どちらにしろ夜となる前に帰宅する。 もう教室を離れたときから『日常』と乖離している。剥がれたモノはまたくっつけるんだ。 隣に誰も居ないまま俺は園崎家の正門に来た。 『日常』に帰られる方法があると言うなら、唯一ここに居る筈の鬼が知っているだろう。 しかし鬼に隠された……か。 魅音の字を指で手の平に書いてみる。 確か魅音のばあさんは『お魎』と言うらしいから、園崎には鬼がつきやすいのだろうか。 だけど詩音には鬼の字が入っていないし……。 帰ってきたら魅音に聞いてみよう。帰ってきた後のことを考えるのは希望になるってもんだ。 覚悟を決めた俺は呼び鈴を押す。俺の耳にも響くような大きな音が、門の奥から聞こえてくる。 砂利を踏みしめる静かな音が大きくなってきた。 一歩一歩踏みしめるかのように、ゆっくりと音が近づく。 そして音が止み、代わりに蝶番を外す音。 息を大きく吸って、門が開く様子を俺は直視した。 「前原圭一さんですね……」 想像していたのとは違う、落ち着いた声が耳に届いた。 門から現れたのも、俺の記憶にはない園崎家の人。 でも母親と言う割には、魅音や詩音との類似が見当たらないし、お魎とか言うばあさんにしては、若すぎる。 加え、俺みたいな若造に敬語を使うあたりも、失礼になるが園崎家にあり得ないように思えた。 「こちらへどうぞ」 俺の返答も聞かず、その女性は俺に付いてくるよう促す。 広い敷地内を歩く間、魅音はばあさんと二人暮らしをしていることを思い出し、使用人がいるとも言っていた。 思い出して改めて見ると、確かにあの落ち着いた様や、丁重な振る舞いにも納得がいく。 「そうなると、魅音は俺が来ることを……」 その思考に到達した所で、使用人の女性はある部屋の前で止まり、正座で正対しながら静かにふすまを開けた。 開けて本人は入らず、俺に一礼をし、俺の横を通り過ぎ戻っていく。 ここに魅音が居ることは、いかに鈍感と呼ばれる俺でも理解できる。 もう深呼吸する必要はない。覚悟は既に決め、腹もくくっている。 開かれているふすまを更に開けて、俺は部屋へと入った。 想像通り、緑色の髪を後ろでくくった魅音がそこに居た。 部屋にあるのは布団だけ。その布団の中で魅音は静かに眠っていた。 眠っている魅音に近づき、膝をついて魅音を眺める。 本当に静かだ。正直いびきのひとつでもするもんだと思っていたが、明らかにこの魅音は園崎家次期頭首の顔。 その顔に俺は指をそえる。こめかみからゆっくりと頬へ移動させ、細い顎のカーブを描き、唇で指を止める。 瞬間――――、ぴしっと俺の頭を電流が駆け巡った。 根拠がない。理由がない。原因も見当たらない。 それでも――――、俺は確信した。 静かに瞼を開ける…………『園崎詩音』を俺は見つめる。 「悟史くん…………?」 悲しい韻と共に、静かな崩壊が始まったのを俺は直感したのだった。 「あぁ、そうだよ、詩音」 魅音であるように振る舞う詩音。悟史のように振る舞う俺。 お互いに擬態している二人の目線が一致する。 俺はレナや梨花ちゃんから聞いた悟史の記憶を掘り起こし、詩音の頭をそっとなでてやる。 詩音の口から息が漏れて、耳たぶまで顔が紅潮した。恥ずかしいからなのか開いたはずの目も閉じられている。 構うこともなく、だがあくまでも優しく詩音の頭をなで回す。 さすがに恥ずかしさの限界に達したらしく、俺の腕を掴んで引きはがそうとする。 引き……はがそう……と…………? 万力にかけられたように腕に痛みが走った。両の腕でがっちりと掴まれた俺の腕を、詩音は離そうとしない。 圧迫して押しつぶすかの如く、詩音の手から痛みがダイレクトに伝わる。 必死に俺の方から脱出を試みる。それでも同年代の女の子に、俺は完全に力で主導権を握られていた。 予感がした時には、もう遅かった。 詩音の目は 完全に イカれていた。 「オマエ ハ サトシクン ジャ ナイ」 断定をこめた――――違う、断罪をこめた音声が脳を揺るがした。 揺れ動いた脳がピンボールにでもなったのか、急に視界が暗闇に染まる。 だが、その暗闇も一瞬のこと。すぐに意識が、痛みによって引き戻された。 バキッと派手な音を立てて、手首の方向が明らかに異常な方向を向いている。 「あああああああっっ!」 躊躇もなく俺の手首は破壊され、万力から解放されたのを感じ、俺は畳を転げ回った。 右の手が全く動かない。 いつもなら動くはずの『自分自身』が動かないと言うのは、なんとももどかしい感覚だ。 どうあがいても収まらない痛み。転げ回っていた目線の先に、白い靴下が映る。 鬼……。名前など所詮は人の決めること。園崎に流れる血には、やはり鬼が存在するのだろう。 瞳は絶対零度まで下がってるかのように、俺と言う存在を視線で否定する。 その目が――――、俺のすべてを否定する。 「圭ちゃんかぁ――――、うくくくくく、どうしたんですか、こんな要塞みたいな所に来て」 詩音が俺の横っ腹に蹴りを入れる。ためらいもない攻撃は体に大きく響く。 「寝て、いる、わた、しに、なに、しようと、したん、だ」 同じ場所を何度も何度も蹴り上げる。逃げようにも後ろは壁だ。 右手が使えないため、片手でカバーするにはあまりにも蹴られる場所が多すぎる。 ただただ攻撃を喰らい続けるだけの、あまりに試合にならない格闘技戦だ。 「やめ……ろ……詩音……、お……おねっ……お願いだ」 蹴られるたびに俺の懇願も遮られる。何度も何度も同じ言葉を俺は繰り返す。 何度も何度も何度も何度も何度も何度も俺は謝罪し、許しを乞う。 「寝取る……って言うんでしたっけ。 無理矢理寝ている子をレイプするのって。 不法侵入に、嘘ついて、強姦ですか。――――最低だよ、圭ちゃん」 違う、俺は違う。 ここに本当は魅音が居るはずで、その魅音を問いただして、レナの居場所を吐かせるつもりだったんだ。 なのに――――、なんでこんなことに…………。 詩音が俺に攻撃するのをやめて、俺と顔を近づけるようにしゃがみこむ。 強引に胸ぐらを掴まれて、鼻先が触れ合う距離まで顔を近づけられる。 度重なる蹴りの応酬で、俺の息が途切れ途切れになるまで疲弊していた。 「ほら、お望みのものですよ」 混乱の渦を巻く頭に、また新しい渦が追加された。 何が何だか分からないうちに、俺の顎を指でつねるように詩音は固定した。 そして隙間が数センチしかなかった俺の唇と詩音の唇を乱暴にくっつける。 「――――――――っ!」 唐突すぎる詩音の行動に、俺の思考は一気にフリーズした。 歯と歯がぶつかり合い、詩音の舌が俺の口腔を咀嚼しようと侵入してくる。 この状況の打破が最重要とした俺は、どうにか動く右腕の肘で、詩音を突き飛ばした。 俺の右腕は動かないもの、と詩音は思っていたのか、肘撃ちが綺麗にヒットする。 それによって俺と詩音には、一メートル弱のスペースがまた生まれた。 逃げることも考えたはずだが、俺の冷静じゃない頭は詩音との会話を優先させた。 「詩音――――、お前」 「気安く呼ぶな、畜生は黙ってろ」 刹那の間しか、詩音は俺に許さなかった。 たった一メートル弱。その隙間とすら言い換えても良い、距離を詩音は全力で突進してきた。 壁に俺の首を狙って打ち付け、そして肘鉄を加えた俺の右手首を、今度は横方向に捻りあげた。 「うぐああああぁぁぁっ!」 首を抑えられているのだから、酸素は少しでも大事に使うべきなのだろう。 だからと言ってこれ以上ない痛みだと思っていた痛みに、更に以上があったのだから叫ぶしかない。 「ねぇ、もしさぁ、もしもだよ? ある子にはだーい好きな男の子が居て、 だーい好きな男の子が、ある子にとってだーい嫌いな女の子に犯されていたら、 しかもその最中を録音でもされて聞かされたら、その子はどう思うのかなぁ」 何が何だか…………分からない…………。 「蹂躙されて咀嚼されて破壊されて、その子は…………み、お、ん、は、どう思うのかなぁ」 詩音の声はひどく嬉しそうだ。とても快楽に満ちている恍惚とした表情。 それでいて、まだこれから楽しみがあるかのような口元で、俺の首を締め上げる。 締め上げる首から上に酸素が届かない俺は、再び視界がフェードバックする。 詩音は俺をこのまま絞め殺す気はなかったらしい。 反応のない俺を見るや、俺を解放した。 手首の痛みもさることながら、息を長時間吸えなかったことから頭痛も激しい。 当然気管をふさがれるほどの圧迫を受けた首も、鈍痛が激しかった。 「ねぇ……、ど、う、思うんだろうね」 どう思う、って何をだ……? 録音……、犯されて……、魅音……。 魅音は……、俺のことが好きだった…………? 「あくまでも、も、し、も、の、話だよ、圭ちゃん。くけけけけけけけけ」 哄笑の表現がぴったりな詩音の笑い声。もう鬼としての詩音の姿すらそこになかった。 今度は後頭部を掴まれて、唇を触れさせられる。 触れ合った瞬間から、詩音の舌が俺の口内へ入ってきた。 淫靡な音が部屋中に響くのが分かる。 がっちりとホールドされている俺の顔は、ただ目をつぶり、目の前の光景が過ぎるのを待つしかなかった。 どれほどの時間が経ったか分からない。 俺の舌をぐるりとなめ回してから、詩音は俺から顔を離した。 荒い息づかいの俺とは違い、詩音の顔はひどく冷静だ。 口からこぼれた糸を指でぬぐい、俺のワイシャツへと手をかける。 一気に引きちぎられると思ったが、開いていた第一と第二ボタンの下、第三ボタンからゆっくり外していく。 その目の前で行われていることに、「犯す」と言われていながら、俺は鼓動が高鳴ってしまった。 まるで恋人との行為でするような作業に、俺は黙りこくって見つめてしまう。 「私、分かったんです」 第四ボタンに手をかけた所で、詩音は口を開いた。 この数分の間聞くことのできなかった、ひどく落ち着いた声。 「飴と鞭ってありますけど、鞭よりも飴の方が残酷なんじゃないかって」 言い終わって俺のワイシャツが脱がされる。 脇腹には蹴りのダメージを物語る、青みがかった赤色へと染色されていた。 「古手の巫女様はどう拷問しても命乞いしなかった。 ゴミ山に通い詰める変態は爪を剥がしても歯をもいでも、笑っていた。 どちらも最後まで見せたはずなのに、悟史くんの疫病神でさえ私に啖呵を切りやがった」 詩音の言ったことが何も分からない。 詩音のやったことが何も分からない。 「あの気弱な沙都子でもそうなんだ。 仮にも鬼婆のもとで鍛錬された魅音に、鞭だけじゃ絶望を与えられない」 悟史くんを失った私の痛みは教えられない。人間は飴を奪われた方が絶望する。 そう続けた所で、詩音はしゃべるのをやめた。 舌を出しながらゆっくりと俺の腹へと接近して、腫れ上がった部位を舐め回す。 傷口である場所を触られたことによる痛みと、女性に地肌を舐められると言う情報の交錯。 頭の中でそれは快感に置き換えられて、俺の拳……、左の拳にだけ力が入る。 舐めるだけでなく、口づけするように横腹へ吸い付く詩音の唇。 吸い付く度に響く音が、一層俺の思考を遮断する。 『録音』と、確かに詩音は言った。そして魅音に聞かせる……? 詩音の企んでいることを俺はようやく理解した。 そしてその謀略を俺は阻止するチャンスがある。 詩音の話ではレナと沙都子、そして梨花ちゃんは殺されてしまったのだろう。 その事実をさらりと宣言されたことで、俺は完璧に打ちひしがれた。 絶望の底に突き落とされたとさえ思えた。 だが――――、まだ救える仲間が居る。魅音はまだ詩音に殺されちゃいないんだ。 ならば俺はまだ落ちるわけにはいかない。 わらにすがってでも、魅音を救い出してみせる。 詩音からの仕打ちに覚悟を決めた俺は、口を一文字に結んで全身に力を入れた。 目をつぶって、少しでも眼前で行われている快楽に屈しないように集中する。 「うああぁっ?」 そう思ったのも束の間。舐められる部分が胸へと移ったことにより、無様に声を出してしまった。 反応しないことが俺に出来る抵抗――――――――――――っ! 左手で自分の口をふさぎ、少しでもあるかもしれない録音機に音を拾われないよう努力する。 その様を見たからか、詩音は執拗に俺の胸、そして敏感に反応せざるを得ない場所に接吻した。 固くなった乳首を舌で転がされ、もう片方の乳首も指で弄ばれる。 俺は経験がない以上、次に何をされるかもよく分からない。 快感がこれほど、覚悟を挫けさせようとするものだとは思わなかった。 だが声を漏らそうものなら、魅音を救うことなどできない。 少なくともこの手段での魅音による拷問は避けられるはずだ。 絶対に詩音の思惑通りに運ばせてたまるものか……。 「体が敏感な割には我慢しますねぇ、圭ちゃん」 冷酷な断罪の声とは違う、甘ったるい誘惑する声で詩音は耳元で囁いた。 その声にも俺は何も反応しない。意識しないことだけを考えて詩音の言葉攻めに耐える。 ふふ、と笑った声が聞こえてすぐ、一際大きい音がした。まるで脳に直接響いたような音。 耳の中に舌が侵入したのに気づくのは、少しだけ時間がかかった。 口と手で塞いでるのにも関わらず、息が漏れてしまう。 体勢がいつの間にか、後ろから抱きしめられている形に変わっていた。 逃げることを考えたが、詩音の足が俺の腹の前で交差されて、ロックしている感覚がある。 執拗に左耳を舐め、噛み、囁き、俺は溶けるような感覚さえ覚えた。 恐らくそこに油断があったんだと思う。 誘発された油断につけ込むように詩音は、俺の股間を布越しから掴んだ。 既にキスをされた時から反り立っていた俺の一物は、ずっと求めていた刺激に大きな快感を脳に伝える。 「っつぁ!」 遂に大きく声を漏らした俺を、詩音は休むことなく攻め続ける。 股間を手で刺激し続けるのに加えての、舌や指による愛撫。 たった数分で俺の覚悟は屈してしまい、詩音の手の上で文字通り遊ばれる格好になった。 いけないとは思いつつも、今まで実感したことがない快感に、声が漏れる。 ズボンのジッパーを下ろされても、何も抗わなかった。 快感が欲しい。これ以上の気持ちよさを味わいたい。 欲求に支配された雄に、成り下がった瞬間であったと思う。 それを理性が理解しつつも、脳が下す命令は性への欲求だった。 外気に触れて、俺の剛直はびくびくと痙攣する。 最初は自慰のように手でしごかれていたのが、また舌による攻撃へと移っていき、指も亀頭を中心に弄び始めた。 俺の体で一番敏感な部分を、ダイレクトに詩音は攻め続けた。 絶頂に達するかと思い始めると、詩音は俺から離れてじっと視姦だけを行う。 幸運か不運か、落ち着き始めた頃にまた詩音は、俺のモノへと手をかけて、快感を供給する。 その延々と続く刺激の繰り返しに、俺の頭は欲求のみで満たされて、耐えることを完全に忘れてしまった。 だらしなく漏れる声と唾液。少しでも欲求を満たそうと自ら腰を振り、詩音の愛撫や口淫に身を委ねた。 「フィナーレですよ、圭、ちゃん」 俺が目を開けると、詩音の下半身には既に衣服はなかった。 都会に居た頃見たビデオでは、モザイクがかかっていた部分。 そこはきらきら光っていて、陰毛の奥には桃色の陰部が俺の視線を釘付けにする。 ただでさえ敏感になっているのに、あのナカへ入れたら、どうなるんだろう。 雄としての思考が広がり、いっぱいになっていた唾液を俺は飲み込む。 詩音は俺のモノを抑えて、ゆっくりと自らの腰を下ろしていく。 先端が毛先に当たったもどかしさを感じた瞬間、一気に俺は詩音のナカへと入っていった。 「――――――――あああああぁぁぁっ」 フェラチオとは違う種類の快感。何よりも熱が俺の頭を更にかき乱す。 熱い熱い熱い――――――――! 陰茎に沿って広がるような詩音の膣。 腰を振る度に起こる、自慰の数倍の快感。 確か騎乗位とか言った名前の体位で、俺は詩音の快感に酔う。 少しでもこの時間を味わいたい――――――――! さっきとは違う、理性からかけ離れた理由で俺は必死に快感から耐えた。 次第と快感に慣れて、俺は詩音を瞳に映す。 どれほど淫らな姿に詩音はなっているのだろう。 そんな下劣な好奇心で、俺は目を開ける。 そこに居たのは、俺が求めた雌としての園崎詩音ではなく、鬼の姿になっていたソノザキシオンだった。 「さっさと、イっちゃいましょう? 圭ちゃん」 詩音の右手に握られていた包丁が、俺の首の付け根に突き刺さる。 骨のすぐ側を通った包丁は、きっと畳まで達して貫通したんだと思う。 致命傷となったその包丁で、俺はすべてのものから解放された。 耐えていたことからも解放されて、防波堤を失った精液は、詩音の膣の中で爆ぜた。 痛さも熱さも引いていった俺の頭。 死が目前に迫っていることを感じながら、詩音の最後の哄笑を俺は聞いていた。 「最っ高だよ、圭ちゃん! コレ見せたら魅音はどうなるかなぁ! 楽しみだなぁ! これで魅音も狂って崩れて壊れちゃうよねぇ! くきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃきゃ――――――――…………」
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【タグ 鯖不要】 ひぐらしド 鯖不要のゲーム詰め合わせ 公式サイトhttp //www.geocities.jp/higuchuu2/pict/game.htm 遊べるマルチプレイゲーム +大貧民(大富豪) 一般に言う大富豪ですが、採用ルールが少し異なります。 プレイ可能人数 1~5人(足りない場合AIが入る) ルール 大貧民、貧民、平民、富豪、大富豪の5人制です。 (最初のゲームは全員平民から。ハートの3を持っている人から開始です) 1つの試合は3ゲーム制です。 1ゲームごとに、大富豪:+2 富豪:+1 平民:±0 貧民:-1 大貧民:-2 の得点が加算され、全4ゲームの合計得点で順位を争います。 カードはJoker2枚を含む、54枚。 ルールは、一般的な大富豪のルールの他、以下のローカルルールを含みます。 ・階段 同じスート(マーク)の連続した数字のカードは、3枚以上の場合、一度に切れます。 以後、場が流れるまでは、その枚数と同じ数の連番以外切れなくなります。 ・縛り 同じスートのカードが場に3回連続で切られた場合、以後場が流れるまで、そのスートの カードしか切れなくなります。(ただし、場に最初に切られたカードに対してのみ、2枚連続で シバリが発生)。 ダブル・トリプルカード(同じ数字のカードを2枚・3枚切る)の場合も発生しますが、すべて のカードのマークが一致することが条件です。(ただし、Jokerは任意のマークとして取り扱う ことができます) ・数縛り 連続する数字のカード(切られたカードの数字より1つ大きいカード)が場に3回連続で 切られた場合、以後場が流れるまで、連続した数字のカード以外切れなくなります。(ただし、 場に最初に切られたカードに対してのみ、2枚連続で階段が発生)。 カードのスートは関係ありません。数字のみ連続していればOKです。 連番の場合は、連番カードの最後の数字より1つ大きい数字が、次のカードの先頭に来る 場合に階段として扱います。(例、345 に対して 678 が切られれば階段) ・完全縛り 同じスートの階段状態のカードのこと。スート縛りと階段の両方の条件を満たすことです。 ・八切り 数字の8、又は8を含むカードが切られた場合、そこで一旦場が切られます。 上がる際に、最後に八切りで上がることは反則となります。 ・砂嵐 数字3のカード3枚を切ること。砂嵐はトリプルカードの中で最強です(2のトリプルカード よりも強い)。 場に出ているカードがトリプルカードである限り、いつでも出せますし、出した 場合は必ず場が切られます。 ・イレバ(イレブンバック) 数字11、又は11を含むカードが切られた場合、以後その場が切られるまでは カードの強さが反転します(革命状態)。革命と異なり、場が切られれば元のカードの強さ順 に戻ります。 ・Joker流し(スペ3) 単体のJokerは最強のカードとしていつでも切れますが、唯一スペードの3(革命時は スペードの2)は、単体Jokerよりもさらに強いカードとして出すことができます。 Joker流し(スペードの3、または2)が出された場合は、場が切られます。 ・都落ち 大富豪よりも誰かが先にあがった場合(反則含む)、大富豪の人はその場でカードを全て捨て、次回ゲームは大貧民となります。 革命は4枚以上の連番でも発生します。Jokerを含んでいても発生します。 革命状態からさらに革命が起きた場合は、カードの強さは元の順に戻ります(革命返し)。 Joker、数字8を含むカード、および数字2のカードを含むカードであがった場合は反則 となります。ただし、数字2は革命時には反則とはなりません。革命時は代わりに数字3が 反則となります。イレバ状態場合は革命時とは異なり、反則カードは変わりません(革命時でなければ数字2、革命時なら数字3が反則)。 その他の特殊カード(数字11・砂嵐)は反則とはなりません。 反則を犯した人は、次回のゲームは最下位スタート(大貧民)となります(都落ちより下)。 反則者が複数でた場合は、後から反則した人の方が地位が低いものとします。 パスは何回でもできます。また、1度パスをした場合であっても、再度順番が周ってきた場合には同じ場内であっても再びカードを切ることができます。さらに、自分がカードを切った後に全員がパスした場合でも、そのカードに対して新たなカードを切ることができます。 +麻雀・ひぐらし麻雀 「麻雀」は4人プレイ用の普通の麻雀、「ひぐらし麻雀」はタッグ戦麻雀ゲームです。 「麻雀」は細かなルールの違いはありますが一般的な麻雀で、強いて特徴を挙げるとすれば光速モードがあること(持ち時間が1秒)です。 「ひぐらし麻雀」はタッグとしての勝利を目指す麻雀で、特徴としてタッグである対面の手を見られることと、対面のみが見ることができるチャットがあることが挙げられます。 プレイ可能人数 4人 ルール 27000点開始の30000点返し ウマ東風戦5-10、半荘戦10-30 ウマの得点によって階級が変化 喰い断あり/後付けあり/赤なし 喰い替えあり 裏ドラ/カンドラ/カン裏あり ノーテン親流れ、聴牌連荘 罰符は場に3000点 東風戦の南入、東南戦の西入なし 飛びあり、0点は続行 「麻雀」では箱点時には-15点のペナルティ(飛ばした人は+15点のご祝儀) 「ひぐらし麻雀」では箱点になった人がいた場合、その時点でその人のチームの負け ツモ和了によりハコった人が両チームにでた場合、残った人の中で持ち点1位の人のチームの勝利 ラス親トップの自動和了り止め、但し聴牌の場合続行 2飜縛りなし/常に1飜縛り 途中流局は九種九牌/四家立直/四槓散了/四風連打あり(九種九牌、四家立直以外の場合はノーテン時親流れ) ※四槓散了は、カンした人が牌を切って、ロンが無かった場合にはじめて成立 1人が4つのカンをした(四槓子を聴牌した)場合のみ、5回目のカンが入った 時に場が流れる。それ以外は四槓散了 流し満貫あり、満貫ツモのアガリ扱い 自分の河が鳴かれていない場合に成立、自分が鳴いた場合でも成立 ダブロンなし(頭ハネ) 包(責任払い)なし 形式聴牌あり リーチ宣言は得点が900点以下でも可能、但し和了しないと飛び リーチ宣言牌で放銃した場合は供託料は発生しない フリテン時はツモのみ可能 同巡フリテンの解消は打牌時、逆巡副露では解消しない。 フリテンリーチあり リーチ後の当たり牌見逃しは以降フリテン リーチ後のカンは、カンする牌が上がり手の順子・雀頭を構成する可能性があるとき以外可能 役満の複合あり 九蓮宝燈はソウズ、マンズ、ピンズ、いずれも可 地和は子が第1巡目に牌をツモって上がった時のみ。ポン、チーの鳴きがあった時は無効 人和は第1巡目に牌をツモる前にポン、チーの鳴きがあった時は無効 国士無双13面待ちであってもフリテンあり 国士無双の暗カン槍槓なし 未確認のルール 終了時の得点の1000点未満の扱い(四捨五入?五捨六入?) 終了時の供託の扱い(トップ取り?) 終了時に同点の場合の順位の扱い(東1局の風順で順位を決定?) 連風牌の符数(4符?) 嶺上ツモ時のツモ符の有無(2符加算?) 九種九牌の条件(ポン/カン/チー/暗槓のない第1ツモで幺九牌が9種以上?) 流しマンガン成立時の親権(親の聴牌で連荘?) 5枚目を待つ聴牌の可否(また打牌選択可能な手牌で4枚使用している牌を除くか) 送り槓の有無 カンドラのめくるタイミング(即乗り/後めくり?) 採用ローカル役 ダブル役満として扱うもの ・純正九蓮宝燈 ・四暗刻単騎 ・大四喜和 ・国士無双13面待ち 役満 ・大車輪(ピンズの2-8のみ) ・四連刻 ・紅孔雀(ソーズの1、4、7、9と中のみで和了、鳴き可) 二翻役 ・三連刻 +れなぱんonCard じゃんけんを要素を少し加えてカードゲーム化したもの。 罪滅し編発売時に、おまけとして添付された「ひぐらし下敷」をもとにNetゲーム化したものです。 プレイ可能人数 2~3人 ルール ①参加者は、9枚のカードを持ち合ってゲーム開始です。手札はお互いに同じ9種類です。 ②手札を1枚選び、場に出します。出したカードの右上のジャンケンで勝負が決まります。 ③ジャンケンに勝ったら、相手にダメージを1点あたえられます。 ④使ったカードは場に捨て、再びカードを選びあい、勝負を続けます。 ⑤すべてのカードを使い切った時点で、もっともダメージの少ないプレーヤが優勝です。 手の内はお互いに一緒です。相手の捨てられたカードから手の内を読み取り、次の手を読み取りましょう。より、多くのダメージをあたえられる特殊カードもあるので、それを有効に使いましょう。 カードの種類 れなぱん(グゥ属性1枚、チョキ属性2枚、パー属性1枚) 相手に1ダメージを与えます レナ・フラッシュ・インパクト(RFI)(グゥ属性、2枚) 前回のターンで勝っていた場合には、相手に2ダメージをあたえます (前回のターンが引き分け・負けの場合は、1ダメージだけです) インペリアル・フリッカー(I・F)(チョキ属性、1枚) 相手に3倍のダメージをあたえます 完全に読んでましてよー♪(完・読)(パー属性、1枚) ジャンケンに負けても、引き分けの扱いになります 祟りなのです(祟り)(パー属性、1枚) ジャンケンが引き分けだった場合、相手に1ダメージをあたえます +推理ゲーム ひぐらしのなく頃に、鬼隠し編3日目に、部活で行われたゲームをネット対戦化したものです。 プレイ可能人数 3~7人 ルール Haikaraみたいなもん、いつか説明書く
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「ペアン」 「頭骨結合終了」 「3号糸ふたまる、それと鉗子用意」 「血圧低下」 「昇圧剤10mm投与」 「バイタル正常に戻りました」 「頭皮の縫合終了」 「バイタル、脳波共に異常なし」 「術式完了」 「みなさん、お疲れ様でした」 「まだよ。さ、サンプルをこちらにちょうだい」 「休まないのですか?」 「ふふふ。格好の研究素材を目の前にして休んでなんていられないわよ」 「・・・・・・そうですか」 「あ、事後処理はおまかせするわよ」 「わかりました」 秘密理行われた非合法で非人道的な手術が終わった それはおよそ似つかわしくない田舎の診療所で行われた 雛見沢症候群 ある種の寄生虫が引き起こす一連の症状の総称であり、その実体は謎に包まれている そして、今行われた手術は、その全容を明らかとするために必要な事だった そう、それは理解している 医学の発展のために、犠牲はつきものだ だが、手術室からICUに移され、目の前で寝台に横たわるのは10に満たない少女だ 彼女は雛見沢症候群のキーとなる存在で、村に伝わるオヤシロ様信仰でも重要な位置にいる 古手梨花。それが彼女の名である 彼女が危険を承知で身を差出してくれたのは、親友のためである 北条沙都子。雛見沢症候群末期症状。L5と呼ばれる状態にありながら生存している稀有な被検体 と言っても、亡くなるのはもはや時間の問題だった そこに、思いがけない提案があった それも梨花当人から提案されたものだった 鷹野三四。名目上、わたしの部下であるが実質的には上司である わたしは危険性から反対したのだが、彼女が賛成したのならば是非も無かった こうなれば全力を尽すまでと思い、主治医として手術を行った 雛見沢症候群の分野では、鷹野さんが第一人者であるが「手術」となれば私の方が上だったからだ そして、その手術も無事に終わった 難手術ではあったが、もともと成功率は高かったため当然の結果ではあった とはいえ、久々に味逢う達成感は心地よかった ―――それから二日。ICUから一般病室に梨花を移す 「みー。たいくつなのですよー」 「まあまあ古手さん。今日一日のしんぼうです。今夜一晩様子を見て、問題なければ明日にはお家に帰れますから」 「入江も大変なのです。目の下にクマさんがいっぱいいるのですよ?」 「え?ははは・・・、人手不足ですから。それに、古手さんの身に万が一の事があったら大変なことになりますからね」 「――それでで入江。沙都子の方はどうなの?」 和やかだった雰囲気がガラっと変わる そう、時々彼女は普段からは想像もつかないほど大人びて見える時がある 「――まだ分かりません。鷹野さんの研究成果待ちとなります」 「そう」 子供とも大人ともつかない瞳に陰が差す。まずい、心配させたか? 「い、いえ、大丈夫ですよ。鷹野さんは優秀ですから、きっと治す方法を見つけてくれるはずです」 「みー。入江は何もしないのですか?」 「え、私ですか? ははは、私はちょっと小器用なだけで、鷹野さんの足元にも及びませんよ」 「そんなことないのですよ? 入江もやればできるのですよ?」 「ははは。ありがとうございます」 期待してくれるのはいいが、所詮わたしはお飾りだ。入江診療所の入江所長と言うのも肩書きだけだ 配属当初は、己の待遇に気づかず単純にはりきっていたが、、 何年も経った今、力関係がハッキリし、自分がただのお飾りであると自覚してからはそんな気にはなれない 「―しない――と――やっぱり無理――か・・・・・・」 「え、古手さん? 今何か言いましたか」 「みー、なんでもないのですよ」 「そうですか? それでは私はこれで。何かあったらすぐにコールしてくださいね」 「わかってるのですよ」 病室を後にして、仮眠室にむかう。本当なら自室に戻りたい所だが、万が一の急変に備えるために仮眠室で眠ることにする 常用している睡眠薬を取り出す。医者の不養生もいい所だが、効率よく眠るためにはしかたない それにそんなに強い薬でもないから問題はない 深夜 物音に気づき目を覚ました コールではない 時計を見ると22時を回っている この時間帯は、当直の看護婦と入院患者を除いて誰も居ないはずだが? ゴソゴソと起き上がり、ドアをそっと開け、廊下に出る 廊下の奥、事務室の方から気配を感じる 足音を忍ばせドアに近寄り、少し開いた窓から覗いて見る 薄明かりの中、良く見えないが看護婦のようだ それともう一人、スーツ姿の男 窓越しに男女の激しい息使いが聞こえてくる どうやら情事にふけっているようだ 不謹慎なと思いながらも、目が離せない 恥ずかしい話だが、わたしはこういう事に慣れていない 研究畑に生きて、忙しい現場で立ち回る日々をすごしてきたため経験がまるで無いのだ ここ雛見沢では、暇とまでは言えないが、かなり時間はあった。だが、相手となるような人が居なかった 看護婦は居るが、年上だったり、若いことしかとりえの無いような人ばかりで、食指をそそることは無い 鷹野さんは美人だが、あの猟奇趣味にはついていけない。何よりも上司であり下手な事をして、機嫌を損ねるわけにはいかない ここの職場は別に恋愛禁止とかそういう規定はない。なら見なかったことにすれば良いが、気分的に面白くない 邪魔までするつもりは無いが、誰と誰なのか確認くらいしておこうと身を乗り出し覗き込んで見る あれは――鷹野さんと―――トミー? 富竹ジロウ 彼はわたしと気が合う、数少ない友人だ 私は医療。彼は訓練。内容は違えど、仕事に従士して色恋沙汰とは無縁な生活を送ってきた そのせいだろうか? 文系と体育会系の水と油でありながらも親友とも呼べるほどに仲良くなったのは ありていに言うなら、童貞仲間であり、奇妙だが確かな友情があった。あったと信じていた だが目の前の彼はなんだ? 彼が東京から雛見沢に通う理由付けのために、カメラマンを名乗ってるのは知っている そして、理由がそれだけでは弱いので、鷹野さんと付きあうことでカモフラージュしてることも知ってる そう、カモフラージュ「美人看護婦に片思いしてる旅のカメラマン」そういう「設定」のはずだ 壁に両手を手を付け、こちらに腰を突き出した鷹野さん その鷹野さんに覆い被さるようにして腰を振るトミー 馬鹿な――。こんなことはありえない。 だって、トミーはわたしの仲間だ。そう仲間じゃないか。なのに何故? 抜け駆け 嫌な単語が頭をよぎる。違う違う違う。彼はそんな奴じゃない。 目の前の光景を否定するのか? ありえない。そう、ありえない。 焦燥し狼狽する。だが、視線だけは外れない、外せない、 そんなわたしの葛藤を無視して、二人は情事を続ける 「あんっあっあっ―――。んっ、ああっー!」 鷹野さんの口から、普段聞く事の無い嬌声が漏れる 「いいわジロウさん!。さ、もっと! そう、そこよ! あんっ!!」 「鷹野さん。行くよ!」 「あん。ダメよ、三四って呼んで」 「ああ。そうだったね。三四さん、行くよー!!」 激しく腰がふるトミー。それにあわせて痙攣するように身を震わせる鷹野さん SEXとはこんなに激しいものなのか? 医者としての知識はある。それにビデオも見たことがある だが、目の前の光景はそれらを凌駕する 二人の情事も絶頂を迎える。同時にわたしも絶頂を迎える。 しばし放心。ふと手を見る。白く生暖かい液体が付着している いつのまにか、わたしも自慰行為を行ってたらしい 廊下に座り込んだわたしの背中越しに、二人の楽しげな会話が聞こえる ワタシハナニヲヤッテルノダロウ? 惨めさと羨ましさが入り混じった複雑な感情に揉まれ考えが纏まらない 鷹野さん――トミ――。いつから? 何故ここで? なぜトミー? わたしは? 避妊は? 後始末は? カメラは? 「じゃ、ジロウさんまたね」 「研究の続きかい?」 「そうよ。良い気分転換になったわ」 「気分転換だけなのかい?」 「うふふ。ジロウさんも言うようになったわね――クスクス」 「あははー。―――僕も一応付き合うよ」 「あら、研究成果がそんなに気になるの?」 「それもあるけど、せっかく来たんだ、もう少しいっしょにいたいと思ってね――ダメかい?」 「クスクス、甘えん坊ね。いいわよ、じゃいっしょに行きましょう」 考えは纏まらず困惑したままだが、状況は変化する 部屋から二人が出ようとしている。このままでは見つかってしまう とっさに、角を曲がりつき当たりの病室に入り隠れる 病室のドア越しに二人が遠ざかるのが分かる 二人の気配が無くなったのを確認して胸を撫で下ろし、側にある椅子に座る トミーが裏切った 興奮も多少治まり、少し冷静になると抜け駆けされたことへの怒りが起きたが、追いていかれた孤独感も大きく、 失望と羨望が入り混じる。 そして、やり場の無い苛立ちが頂点に達し、思わずバンと机を叩く 「うっ・・・ん」 誰かの吐息が聞こえ、ビクッっと身を震わせ、全身の血が引くのを感じた ここは病室。誰かいたのか? 慌てて立ち上がりベットを見ると、そこには黒髪の少女が横たわっていた 「梨・・・花・・・さん?、いえ、これは――そのぉ・・・」 まずいところをと思い、慌てて弁解しようとするが、少女に変化は無い どうやらぐっすりと寝ているようだ 再び胸を撫で下ろす ふと自分の姿を見ると、手にはまだ粘り気が残り、ズボンも半脱ぎ状態だ こんな姿を見られたら何もかもが終わるところだった 備え付けのタオルで手をふき、ズボンを履きなおす そして、起こさないように病室を出ようとしたとき、梨花が寝返りをうった 驚きながらも、苦笑し、掛け布団を直そうとベットに近づく 「やれやれ、風邪引きますよ―――っと!?」 動揺してたためか、躓きベットに倒れかかる。梨花ちゃんをつぶさないようにとっさに手をつく 危ない所だったが、どうやら起こさないですんだようだ 溜息をつき、身体を起こそうとしたとき、ふと、甘い少女特有の香りに気づく 同時に本来、今は目にしないはずのモノが目に入る それは幼いながらも女性特有の器官。鷹野と違い毛は生えてないものの男性には存在しないものだ 彼女には念のため手術着を着せたままだった。そのため、寝返りの拍子か帯が解けて、半裸を曝していたのだ 慌てて態勢をもどし、帯を手に取り、服を着せようとする とっ、ぷにっと肌に手の甲が触れ手が止まる 何を考えてる京介入江? 先ほどの光景が脳裏にフラッシュバックする。少女とはいっても女性の裸体だ カーテン越しの降り注ぐ、月明かりに浮かぶ白い肌はなんとも言えない魅力を放っていた 友人に先を越されたくやしさ。未だに経験の無い自分への焦り この時のわたしはどうかしていた もしかするとL3くらい発症していたのかもしれない ゴクッと唾を飲み込む 帯から手を離し、ベットから立ち上がると、ドアに近寄り内側から鍵をかける 白衣のポケットを探り、小さな錠剤を一つ取り出す 大人にとっては弱い薬だが、子供には十分な効き目がある 水差しを手に取り、咳き込まないように注意しながら、そっとノドに水と共に流しこむ 手を取り、じっと様子を見る 寝息に変化は無く、脈拍に異常も無い しばらく間を置き、腕を軽くつねって見る 僅かな反応はあったが、起きる様子は無い そっとお腹に触れて見る 診察の時や手術の時に幾度と無く見て、幾度と無く触れたことがある だが、それらとはまた違った感覚がある それは恐らく、今彼女を、患者としてではなく、女として見ているからだろう そのまま手を上半身へとスライドさせる ふくらみの無い胸の上に動かした手に心臓の鼓動が重なる 手を乗せたまま顔を近づけ、思わずかわいらしい乳首を舐める 酸味を含んだ塩味だったが、何故か甘く感じた しばし、その新鮮な感覚を堪能した後、手をお腹へと戻し、さらに下半身へと動かす 秘所を通り抜け、足まで手を動かすと、柔らかなふとももを掴み、股を開かせる このままでは見え難いので、自分もベットの上にあがる 幸いな事に、ベット自体大きいので動き回る余裕は十分にあった 知識としてはあったが、実物を見るのは初めてだった いや、正確には初めてではない、医者として診た事は何度かある だが、動機が早まり、自分の下半身に血が集まるのを感たのはこれが初めてだった 落ち着け KOOLなれ! 入江京介!! さっきと同じく、しばらく手で弄ったあと、顔を近づける 良い匂いとは言いがたい香りのはずだが、何故か鼻を背ける気になれない はっきりとしたスジに沿って、下を這わせる 汗とは違う、形容しがたい味がする これが愛液だろうか? 「んっ」 梨花ちゃんの口から吐息が漏れる 起きたかと一瞬身構えたが、それは杞憂に終わる そのまま無心で舐め続ける。幼い身体がそれに反応して身をよじらせ、声を漏らす 感じているのか? いや、年齢的にその可能性は低い 快感ではなく、くすぐったさを感じているだけだろう ふと、鷹野さんの嬌声を思い出す わたしは経験は無い 女性を感じさせるような技術はない ましてや少女に快感を味あわせるような技術などあろうはずもない だが、目の前の無垢な少女の嬌声を聞いてみたいという欲望は治まらない どうすればいい? 男としての経験は無い。だが、医者としての経験ならある そうだ、医者としての知識に何か無いか? その時、ひらめきがあった そうだ、一つあった。研修医の時の一回しか経験が無く、あまり良い思い出とは言えないが、試して見る価値はある 女性特有の器官から、男女共有の器官へと手をずらす かわいらしい穴に指を入れようとして、ふと思い立ち、指を口に咥え唾で湿らせる そして、再び挿入を試みる 「んんっ・・・」 多少の抵抗があったが、すんなりと第一関節まで入る 指を動かし触診を始める 肛門の近くには前立腺があり、そこを刺激すると快楽を感じる これは男女共有の反応であり、直腸検査を行うときは、前立腺を刺激しないように行うのが基本である だが、今は違う、普段とは逆に、前立腺を刺激するように行うのだ 「んんっ・・あっ・・・」 触診を続け、異物がないことを確認し、前立腺の位置を確かめる あとは、刺激を加えるだけだ 「ひゃん! あっ、んんっ! やっ!」 予想以上に効果があった。刺激し始めた直後からこの反応だ 幼いながらも、女を感じさせる声に興奮が止まらない もっと声を聞きたいと、指の動きを激しくし、刺激を強める 「あ!、ああっ! やあぁっっー! ひゃんんんっ!!」 ひときわ大きな声に愕き、手を止める 刺激し過ぎたか? 目が覚めたかも? 一瞬蒼ざめるが、それも杞憂に終わる 火照った寝顔に安堵した時、腕に伝わる生暖かい液体と、それが放つ異臭に気づく 「おやおや おもらしですか」 思わず言葉に出る 医者をやってると汚物に触れる機会は多く、他人の汚物を被っても平気ではある だが、だからと言って不快感がない訳ではない、嫌なものは嫌なのだ しかし、これは違うようだ。普段なら平然と後始末を始めるだけだが、今は違う 理性ではなく本能が反応する 「・・・・・・・・・」 鼻をつく不快なはずの匂い。だが、今はそれが異常な興奮を引き起こす 鼻息が荒れ、中から圧迫され、窮屈になったズボンを脱ぎ下半身を露出する いきり立った愚息を、スジのままで花開いてない秘所にすり付ける 先端でなでまわすように、スジに沿って上下させる 火照ったまま寝息を漏らす少女の顔が、月明かりに映し出される それは、いつものかわいらしさとは違い、少女にはありえない艶やかさを感じさせるものだった 興奮がさらに高まる。高まった興奮は、こすりつけるだけではおさまりがつかない 入れたい それが本音であった だが、僅かに残った理性がそれを拒否する 彼女は巫女であり、巫女には処女性が大事だと聞いた事がある わたしにそれを散らせる資格など無い それに、今更だが、超えてはいけない一線がある 本能と理性の間で葛藤し、身もだえする 入れたい、ダメダ、デモ入れたい 「くっ くーっあっああっあああああ!!」 ダメダダメダダメダ、モウガマンデキナイ 手で愚息を押さえ、狙いを定める 最後に残った理性で位置をずらしもう一つの穴へと目標を変える 「ひぎぃ!」 梨花から嬌声とは違う口篭持った悲鳴が漏れる だが、それに構わず腰を振りつづける 幼いからだがリズミカルに揺れ、呻き声からだんだんと嬌声に変わっていく 「んっ、あっ!、んんっ!! あっ うんっ やっ!」 「はぁはぁはぁ!んっ!!」 そして、わたしは絶頂を迎えた 堪えがたいほどの自己嫌悪の中、黙々と後始末を始める 最初の触診で少し広がっていたのが幸いしたらしく、あれだけ激しくしたのに裂けてはいないようだ 欲望のはけ口となった穴をから、欲望の塊を掻きだす 沿え付けのタオルで全身の汗をふき取り、服を着せる 手術着とベットのシーツが塗れていたが、これはどうしょうもない 梨花には悪いが、オネショしたこととして誤魔化すしかない 年齢時には少しおかしいが、理由はどうとでもつけられる 「私は何をやってるんでしょうね――ハハハ・・・・・・」 後始末を全て終わらせて、梨花が何事も無かったように寝ているのを確認して、病室をあとにする 仮眠室に戻り椅子に座って一息つくと、止めどなく涙が溢れた 「みー。沙都子には絶対内緒なのですよ!」 「クスクス、はいはい」 「まあまあ、大変な手術の後ですから、緊張が解けてうっかりしたんでしょう」 朝、診療所を開く前の病室。朝御飯の前に一騒ぎ起きていた 予想していたことであり、予定どおりに対処する 「でもねぇ? この年で・・・クスクス」 「みー、鷹野が苛めるのです・・・・・・」 「鷹野さん。そのへんにしてあげてください。大人げないですよ」 「あらあら? 私は悪者なの? クスクス じゃ悪者は退散するわね」 「みー、沙都子に言っちゃダメなのですよ」 「大丈夫よ言いたくても・・・ねえ?」 「!? 鷹野さん!!」 「あら? ごめんなさいね。じゃ」 失言に気づいた鷹野さんは咎められる前に、シーツを持ったまま、病室を逃げ出すように後にする そして、シーツを変え、パジャマに着替えた梨花と二人っきりになる 「みー・・・」 「大丈夫ですよ、鷹野さんには私から口止めしておきますから」 「おねがいしますです。入江なら信用できるのです」 何気ない言葉が胸に刺さる 彼女はわたしを無条件に信頼してくれてる だが、そんな彼女をわたしは――劣情に駆られて・・・・・・ 「・・・・・・・・・」 「入江。どうかしたのですか?」 「え? ははは。まだ、疲れが残ってるようです。それより身体の調子はどうですか?」 「大丈夫なのですよ。にぱー」 笑顔がまぶしい。だめだ、見て入られない こんないい子を、わたしは・・・・・・・・ 自己嫌悪で押しつぶされそうだ 「それは良かったです。もう少しで検査の準備ができます。 朝食を済ましたら診察室にきてください。 そこで問題が無ければ、今日からお家に帰れますよ」 「みい。それより沙都子が心配なのですよ」 「ああ、そのことでしたら、鷹野さんの研究結果が出しだい治療に入ります」 女の子同士の友情か・・・・・・。わたしのとは比べ物にならないほど純粋なものだろうな 「入江は何もしないのですか?」 「え? あははは 何もしない訳ではありませんが、この件は鷹野さんの専門分野ですから」 「入江は優秀なのですよ?」 「ありがとうございます。でも、それは買い被りです。私なんて所詮は・・・・・・」 そう、ただの卑怯者。言い訳ばかりして保身を計る人間クズだ あんなことをしたばかりだと言うのに、当人の前で笑っていられるぐらい外道だ そんなわたしに何が出来るというのだ? 「入江」 自己嫌悪の闇に落ち、自暴自棄となった心に、凛とした声が響く 「沙都子を助けられるのはあなただけ。 鷹野はダメ。彼女は研究だけで沙都子は救ってくれない。 いいえ。むしろ沙都子を研究のために*してしまう」 「梨花・・・さん?」 口調だけじゃない、態度が違う。いや、雰囲気からして違う これは誰だ? 「今から1ヵ月後。沙都子は5度目の発作を起こします その時までに、入江。 あなたがC120を完成させないと手遅れになる」 「一体何を言って・・・」 「だから入江。自殺しないで」 唐突な言葉だった 心を見透かされたような気がした 名目だけの所長であるわたしは、自分がここにいる意味を見失っていた そんな矢先、トミーにさき越されたあせりと苛立ちから、許されざる蛮行を行った そう、わたしはすでに生きる気力を失っていたのだ 「な、何を突然言い出すんです?」 「入江。昨日のことは知ってるのですよ?」 馬鹿な!。突然ことに狼狽し、椅子から落ちる とっさに何事も無かったように振舞おうとするが、上手く行かない 「ななbなs、なんのはなしです?」 「入江。あなたには感謝してるのです。 あなたは沙都子を救ってくれる。 あなただけが沙都子を救える。 たしかにあなたは道を誤った。 でも、まだ戻れる 戻れるのですよ?」 「はは、いつ気づいていたんですか? 戻れるって? 古手さん。本当に知ってるのですか? わたしがあなたに何をしたのか? はは、なら、戻れるはず無い 天才と呼ばれた外科医、入江京介はもういない ここにいるのは、ただのクズです 生きる価値も無ければ、存在する価値も無い!!!」 終わった。何もかも終わった 終わってくれた その時はそうとしか思えなかった だから、次の言葉が信じられなかった 「入江。僕はあなたの罪を許すのです」 「え?」 許す? わたしを? 数え切れない罪を犯し、さらに超えてはならない一線も超えたこのクズを? 「入江。私はあなたの努力を知っています そしてどれだけ苦悩してきたかも 「・・・・・・」 「あなたは沢山の罪を犯しました そしてさらに、その罪から逃げるつもりですか?」 「じゃどうすれば良いのですか! わたしの犯した罪はけして許されるものじゃないでしょう!!!」 「でも、僕は許すと言ってるのですよ?」 許されるのか? わたしが? あんなことやこんなことをしたのに? 「しかし、わたしは・・・・・・」 「あーいちいち、煩いわね。 私は許すと言ってるの!! でも、あなたがこれまでに*してきた人たちのことは知らない 彼らが許すかどうかは知らないわ でも、じゃあ、その罪を償うにはどうすればいいと思う? 命を奪ったのなら、それ以上の命を助けることで償えばいいのよ!!」 さらに口調が変わる。大人びた口調から荒っぽい口調にだが、不思議と違和感が無い 独善的で断定的だが、心に響く。そうだ、たしかにわたしは多くの人を犠牲にしてきた そのわたしがここで命を断ったところで、何になる? 犠牲を無駄にしないためにも、生きて償うべきではないのか? 「私が・・・助ける?」 「そうよ。あなたなら出来る。あなたなら沙都子を助けられる。 これは決まったことよ」 心に微かに火が灯る。忘れかけていた医学への情熱を思い出す 「あなたにあんなことをしたわたしを、まだ信じてくれるのですか?」 「いったでしょ? 私は許すって でも、次はないわよ?」 「わかってます。本来なら一度目の過ちで許されないことですから・・・・・・二度はありません しかし、いつから意識があったんです? それに、決まってることとは一体?」 心は決まった。梨花がチャンスを与えてくれた いや、それだけではない忘れてたことを思い出させてくれた 「オヤシロサマは何でも知ってるのですよ? にぱー!」 「はははは、古手さんにかないませんね~」 久しぶりに自然に笑った気がする いつからだろう? 作り笑いしかできなくなったのは? 「いいでしょう。この京介入江。期待に答えましょう!」 「頑張るのですよ。ファイト!おー!なのです」 「ええ、見ててください」 いつもの無邪気な笑顔に送られて、病室を出る 部屋を出たその足で、地下の鷹野さんの研究棟に向う 考えて見ればわたしは、無駄なプライドをずっと引きずっていた それだけが支えとばかりに固執して、理想と違う現実を認められず、いつしか回りを見なくなった だが、今は違う。落ちる所まで落ちた以上もはや恐れる物は無い 土下座してでも研究に加えてもらい、全力を尽すまでだ!! こんなわたしを認めてくれる人がいる 信じてくれる子がいる 過ちを正し、道を示してくれた そして、大きな過ちを許してくれた わたしに生きる意味があるなら、それは彼女のためだ これからも苦労はあるだろう 再び絶望することもあるだろう だが、わたしも信じよう 彼女がわたしを信じてくれたように 未来に希望がある事を・・・・・・ エピローグ 「あぅあぅ。入江はとんだ変態なのです」 「そうね、あと2年もすればメイドメイド言い出すわね」 「違うのです!そうじゃないのです!」 「分かってるわよ、後で沙都子に手を出さないように釘刺しとかないと」 「あぅあう」 「何?」 「えー。それで、入江をホントに許すのですか?」 「ええ。こんな貧相な身体一つで沙都子が助かるなら、安いものよ」 「でもでも、女の子の大切なものを奪われそうになったのですよ?」 「いいの。私は空気読めない乙女チックな誰かさんと違って、結婚までは~とか甘い幻想を持ってないから」 「あぅあぅ」 「それに最後までやってないんでしょ?」 「あぅあぅ、それはそうなのですが、最後までやったのとたいして変わらない気がするのですよ」 「いいのよ。どうせ寝てて覚えてないし、いちいち細かい事を気にしてたら、100年の魔女なんてやってられないわよ」 「あぅあぅあぅ・・・・・・」 「それに、ああ言っておかないと、生真面目な入江は思い詰めて自殺しちゃうでしょ?」 「それはそうなのですけど・・・・・・ボクは納得いかないのです!」 「あんたが納得して無くても、私はしてるの」 「あぅあぅ」 「ボクは梨花の教育を間違ったんでしょうか?」 終わり
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前回 鬼畜王K1 ─Apocrypha─<外典> 鬼畜王K1 ─Apocrypha─<外典・二章> 我汝らに告ぐ、求めよ、さらば与えられん。 尋ねよ、さらば見出されん。門を叩け、さらば開かれん。 『新約聖書』「ルカ伝 第11章9節」より 蔽(おお)われたるものに露(あら)われぬはなく、 隠れたるものに知られぬはなし。 『新約聖書』「ルカ伝 第12章2節」より 悪魔でも聖書を引用することができる、身勝手な目的にな。 シェイクスピア『ヴェニスの商人』第一幕第三場より 「いい反応だったぞ、知恵。…くっくっく」 霞む視界の向こうに前原くんがいた。私は声を絞り出そうとするけれど、上手く出来ない。 私は力が抜けたまま。前原くんの腕の中で息を整えていたが、彼は私を抱き寄せて、ソファーに座る。 ちょうど、私が彼の膝の上に両足を乗せる形になった。 ――彼の顔が目の前にあった。 「だがこれくらいで満足されては困るな。まだまだ俺は楽しみたい。お前との交わりを――」 唇を奪われ、舌を入れられる。 「…んん…ぷぁ…はぁふ」 彼の唇が何度か離れても、温い吐息が吹きかけられ、それが私の思考を鈍らせていく。 それに、彼の舌と私の舌が絡まる感触で、身体の芯が蕩けそうになる。 乳首は服の上から盛り上がり、彼の華奢ながら贅肉の無い胸郭が押し付けられる度――いや、私から押し付けている――じんじんと熱を感じる。 …さっきまでの彼とはうってかわって、激しくなく、まだるっこしいほどの絡み合い。 彼は時々、唇から私の首筋へ舌を這わせる。 「…はぁ…っあぁ…んん…は」 顎を中空に突き出しながら喘ぐ。さらに肌は熱を帯び、手の先まで痺れそう。 ――気付けば、いつのまにか私は、前原くんの頭を掻き抱いていた。首筋に這う彼の舌を、さらに押し付けようとするかのごとく。 さらに、彼を離すまいと、両足を彼の身体に巻き付けていた。 そして――私の下腹部に、異常なまでの盛り上がりを見せる彼の『何か』が突き当たっていた。 「…あ…あぁ…」 私はこの時、ようやく我に返ったのです。 「わ…私…」 「くっくっく…どうした?せっかく調子が上ってきたのに、ここで止めるのか?」 唇を吊り上げ、鋭く流し目を送る前原くんがいました。私の羞恥心が戻ってきたのを見透かしたうえで、あえてそれを煽っている――。 「今のお前は、いい表情をしている。羞恥心という欺瞞で覆い隠したはずの、淫乱な本性――それが暴かれる寸前。 『蔽われたるものに露われぬはなく、隠れたるものに知られぬはなし』――」 「私が…この、私が…淫乱なはず、など…」 それは、良識の最後の抵抗でした。でも、私の精神と肉体は、既に彼の手の内であることを、既に分かっていたのです。 「ならば、これはなんだ?蛇のように巻き付き、俺を捉えて離さないこの手足は。俺の股間にすりつける、ヒクヒクとした柔肉は? ――さあ、告解の時間だ。己の欲望のままに言葉を紡ぎ、肉体を開く時――」 彼はいよいよ、私を追い詰めました。 「言っただろ?これは『契約』だと。これ以上の快楽を求めるならば、自らの力で扉を開け―― 『我汝らに告ぐ、求めよ、さらば与えられん。尋ねよ、さらば見出されん。門を叩け、さらば開かれん』――」 耳に囁くその言葉は、神の子を装う悪魔の言葉――ただの人間である私に、逆らえるはずがありませんでした。 私は右手で、彼のズボンの盛り上がりに触れました。布越しにも分かるその巨大さに圧倒されつつも、もう後には引けません。 そして左手で私の性器をおそるおそる開きます。既に大量の液体を流していたそこから「ぬちゃり」とした音が聞こえ――涙を浮かべながら、意を決して彼に言いました。 「…ま、前原くんの『これ』で…私の『ここ』を…貫いて、くださ…い」 ――そう、私は、正直になったのです。 自らの果てなき欲望を肯定する――それは『人』としては恥ずべき態度、無垢な子供たちを教え導く『教師』としてはあるまじき行為。 しかし、この時から、私は『女』であることを自覚したのです。 そして――人倫を超え、束縛を解放することで、それまでの自分を変えていく。 ――彼が目指す『理想』がそこにあったことを知るのは、もう少し先の未来のことです。 × × × (メフィストーフェレス) どんな紙きれだっていいんですよ。 ちょっと一たらしの血でご署名をねがいます。(中略) 血というやつは、全く特別の液体だからなあ。 ゲーテ『ファウスト』「第一部 書斎」より 言葉はもともと魔術でした。 言葉は、今日でもむかしの魔力を充分に保存しています。 われわれは、言葉の力によって他人をよろこばせることもできれば、 また、絶望におとしいれることもできるのです。 ジークムント・フロイト『精神分析入門』序論より 前原くんはその言葉を聞き、ニタリと笑いました――完全に自分が優位に立ったということを確信した顔です。 片手でベルトを外し、ジッパーを下げると、下着から巨大なそれが目に入りました。 赤黒く充血し、ビキビキと血管が走る怒張。 天を衝くようにそびえ立つその巨大さに、ただただ唖然とするばかりでした。 ――こんなに大きいものが、私に入るのか? 驚愕に目を見開く私の表情を見て取ったのか、彼は「ふっ」と笑いました。 「…びっくりしたか?まぁ、誰でも俺のを見れば驚く。 ――最初は痛みを覚えるだろう。それを我慢してくれれば、あとは…くくく、ここから先は『体感』してもらうのが一番か」 そこで彼は自らの性器を握り、私の性器の入り口に当てました。肉と肉が触れあった瞬間に、ぴくりと私は震えました。 心臓が飛び出しそうなくらいに鼓動し、額には汗まで浮いています。 私は来るべきその『痛み』を懸命にこらえようと力を込めていましたが、彼が、すっ、と私の頬を撫で―― 「――力を抜いて下さい、先生。余計な力はかえって痛みを増すばかりです。大丈夫、俺を信じて――身を任せて下さい」 ――柔らかい笑顔で言いました。 こんな時に、年相応の少年であることを思い出させる顔が出来るのか――そう思って緊張がゆるんだ瞬間。 ずぶ、と、『彼』が『私』に入ってきた。 「…んあああぁッ!!」 前原くんの肩を力いっぱい掴む。彼の肩に指を食い込ませ、痛みを伝える。 不思議な感覚だった。私の中に何かが入ってくる――腰の下の異物感で、何も考えられない。ただ、信じられないほどの熱を、股間に感じた。 彼はなおも私の中に押し入ってきた。ずず、と上に向かって腰を浮かしてくる。私は逃げたい気持ちにかられたが、彼が左手で私の足の付け根を掴んで離さない。 「…んぐうぅぅぅ…ッ!!」 涙がポタポタと彼のズボンに落ちる。痛い。股間がじんじんとする。歯を食いしばって耐えるが、彼がなおも私の中を抉ってくる。 そして私の膣中の最奥に、彼の性器が届いた。これ以上は入らないというところで、彼もピッタリと動きを止める。――女の身体を知り尽くしているからこそ、出来る芸当なのか。 「…くく」 彼は小さく笑っていた。『少年』の前原くんではなく、『男』の彼がいた。 「…どうだ、知恵?お前は今、純潔を失った。見てみろ」 目を閉じていた私は、彼と繋がっているところを見ると――赤い血が一筋流れていた。 「悪魔との契約に必要なのは、血――しかも、ご丁寧に処女の血を提供してくれたというわけだ。 …ははははは、あっはっはっはっはっはっはっは!!!」 前原くんの洪笑が部屋に響いた。 ――だが、その笑いに対して、私は屈辱感を覚えるどころか、焦りがあった。 なおも笑う彼に、私は自らの望みを口にした。 「…ま、前原、くん」 「はっはっはっはっは…んん?何だ、知恵…?」 「…その…もったいぶらないで…早く…」 「なぁに~~聞こえんな~~?『早く』どうしろと?」 「は…早く動いて、私を気持ち良くして下さいッ!!…このままでは、私…生殺しですぅ…!!」 ――彼に抱きついて、はしたなく懇願する。 ここまで私は恥を捨てたのか…と頭で思ったが、それも肉体の前では無意味だった。 …私の耳元で、前原くんは言った。 「――それでいい。俺も喜んでお前に応えよう。ともに貪ろう――そして感じろ、新たなる生を。 『絶頂の瞬間に見るもの』を忘れるなよ――それを知った時、お前は『再び生きるんだ』――」 彼は一気に腰を引くと、私の膣内にそれを打ち付けた。 「ふあぁぁぁんんッ!!」 一回、二回、三回、四回、五回、六かい、七かい、はちかい、きゅうかい、じゅっか、い、じゅう、いっか…いい、いいの、これ…すごい、いいの…! 途中まで数えていたが、それ以上先は続かなかった。 痛みなどどこかに消えてしまい、彼の肉棒を出し入れされるたびに、私は喘ぐ。 「あんッ!んんッ!んあぅ!ひゃん!あっ!…」 「…ははッ!どうだ、知恵ッ?気持ちいいのか…なぁッ!?」 「うぁッ!あぁッ!んんあぁッ!!…いいのぉ、コレ!…膣中(なか)で、動く度に…あぁんッ!!」 「膣内(なか)!?オマンコの中かッ!?そうなのか、オマンコの中なのか、えぇッ!!?」 「ひぁうッ!!…そうなのぉ、オマンコの中でぇ、あぁうッ!!…前原くんのが…あぁんんッ!!」 「前原くんのなんだってッ!!?…オチンポだろッ!!事物と時制は正確に表現しようぜ、なぁ、先生ッ!!?」 「あぁんんッ!!ひゃああんッ!!…はい、オチンポですぅッ!! 前原くんのオチンポがっ…あんッ!!…私のオマンコにジュプジュプ入る度に…あぁんッ…気持ちいいんですぅ!!!」 彼は私を突きながら、唇を押し付ける。私も彼の唇を逃さないよう、彼の頬を両手で包んで固定し、唾液を送り込むようにキスを繰り返す。 その間も彼は私を貫き、膣内で彼のオチンポがこすれる。 オマンコから止めどなく汁が流れ、胸を上下に揺らし、汗を飛ばしながら、彼の腰に両足を絡める。 ――快楽が分かってきた。 こうやって男と女が二人、肌を重ねること。互いを求め、絡み合うこと。 思考や理性を吹き飛ばし、獣性を露にして、本能で肉体を支配する。 退屈な日常。変化の乏しい生活。刺激の無い世界――それらが消えてゆく。 溶け合う感覚が肉体を包み――精神も混ざり合うのだ。 「んんぅ…ぷはぁ…あぁ…前原くんの唾液…あぁんッ!!…美味しいです…」 「くっくっく…お前はそれでいいのか?口の端から涎をだらだらと流して…恥ずかしくないのか、教師たるお前がッ!生徒に抱かれて淫らに腰を振ってッ!!」 「あぁんッ!!…は、恥ずかしく、ないですッ!…んぁあッ!!…ま、前原くんに気持ち良くして、もらえて、ふぁあッ!!…先生は、知恵は…幸せですッ!」 「ククク…じゃあこれからも、俺が抱いてやると言ったらどうだッ!?…周期はどうしようか、一週間に一回か、三日に一回か…それとも、毎日かッ!!」 「はいッ!…抱いて下さいッ!…んあぁッ!…できれば、ま、毎日、あぁんッ!!」 「毎日だとッ!?お前はとんでもなく淫乱だなッ!…毎日ヤったら、いつか誰かにバレちまうかもな、そうしたらどうするんだ、えぇッ!!?」 「んあぁッッ!!…か、構いません…ッ!!バレたら、バレたで、前原くんと…ふぁあッッ!!」 「おいおい、バレたら大問題だろうがッ!!…まぁ、そうだなぁ、バレたら開き直るかッ!!…堂々と、みんなの前でハメてやるよッ!! 『みんなが慕ってた知恵先生は、生徒のオチンポであんあん喘ぐ淫乱な牝狗だったんです』ってはっきりさせようじゃねぇかッ!」 ――その光景を思い浮かべた瞬間、私はビクンと大きく仰け反った。 一際高い嬌声を上げ、前原くんのオチンポをオマンコで締め上げた。 「…ん?なんだぁ、急にオマンコの締まりが凄くなったじゃねぇかッ!!…ははぁ、お前、俺に罵倒されて悦んでんのかッ!!どうなんだ!?この『牝狗』ッ!!」 「うぁあッ!!…はい、そうですッ!!…知恵は、前原くんに罵られて感じる…んんんッ!!…牝狗ですッッ!!」 「その解答じゃあ95点だな、知恵ッ!!…満点取るには、まだ足りないぞッ!! ――認めてしまえ、『自分は変態だ』とッ!!…前原圭一のオチンポ奴隷になると、ここで宣言しろッ!!」 …この時こそ、私が真に悪魔に魂を売り渡した瞬間です。 ――口から涎を垂らしながら。嬉々として、前原くんに誓ったのです。 「はいッ!!…知恵留美子は、前原くんのオチンポ大好きな、淫乱教師の、牝狗で、…へ、変態ですッ!! ――前原くんの、オチンポ奴隷になれて、幸せなんですッッ!!!」 ――知恵留美子は変態です。 それを口にした瞬間。頭の中であらゆる束縛、タブーが消え失せた。 それまで感じていた空虚な気持ちも霧散し、私は完全に『変わった』。 そして透明な自分が――前原くんの色に、私が染まっていく。 それが堪らないほどの――快感。 「…はは、はははは、あははははははははは!!! …素晴らしい、上出来だ、知恵ッ!!百点満点だッ!!!…じゃあ牝狗にご褒美をくれてやるッ!!」 彼はそう言うと、今までで一番激しく腰を打ち付けました。 ソファーからずり落ちないよう、彼の身体にしっかりと両足を巻き付けて、その動きに合わせます。 「ふぁあッ!!んんあッ!!ああんッ!!…すごい、オチンポいっぱいなのぉッ!!…ひゃあんんッ!!! …あぁん、また、また来ちゃうの…オ、オチンポで…ふぁうッ!!…イ、イクぅ!!」 「くっくっく…はははは、そろそろイかせてやるよ、存分に喘ぐがいい、叫ぶがいいッ!! …俺も、そろそろイクぞ…!!…俺のオチンポ汁、欲しいかッ!!」 「あぁんッ!!はぁうッ!!…はい、欲しいですぅ!!…オチンポ汁、いっぱい下さいッ!!」 「どこにだッ!?…奴隷に選ばせてやる、ありがたく思えッ!!」 「はぁんッ!!…オ、オマンコに…ッ!!オマンコの中に、いっぱいオチンポ汁を注いで下さいッ!!…このまま、膣内でッ!!」 「いいぞッ!!さすがは俺の見込んだ忠実な牝狗だッ!!…よし、存分にイカせてやる、そらぁッ!!」 「あぁッ!!…イク…ッ!!…んんん、あああああああああッッ!!!!」 ――彼が動きを止め、私の膣内に全てを放出し。 その瞬間、私の目の前が光に包まれ――意識を失いました。 しかし、意識を失う瞬間。 刹那の中の、さらに短い間――涅槃寂静(ねはんじゃくせい)というべき時の中で。 ――究極の快楽をもって、霊肉の一致が完成した時を知りました。 彼が私で、私が彼になる。 私は、この交わりを通し――生きながらにして『神』という存在に気付かされたのです。 彼こそは、私の世界を変える存在。 私は仕えるべき存在を見出した――私は、彼の御使いでありたい。 ――この時、知恵留美子は一度『死んだ』のです。 新たな生を、前原くんに――『神』に与えられ――新たな世界を知ったのです。 <続く> 鬼畜王K1 ─Apocrypha─<外典・三章>
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5月30日 約束を忘れてパチンコに行った。3万スッた リナに怒鳴られ、口喧嘩になった 売り言葉に買い言葉で、日記を付けることになった めんどうじゃが、あそこまで罵られては無視できんわ 意地でも三日坊主とは言わせんぞ 6月3日 リナに食いついたカモが、ドツボにはまった あと2~3日すりゃ、追い込む頃合じゃろう 腕が鳴るわい 三日坊主どころか一日坊主になってしまった これじゃダメや、こんどこそ続けにゃいかんけんの 6月4日 リナが帰って来やーせん おおかたカモの家に泊まりこんで、しっぽりやってるんじゃろう それがあいつの仕事なんじゃか、なんかいらつくわい まあええ、リナもリナでストレス溜まってるじゃろう 帰ってきたら、新しく用意したオモチャで、たっぷりと可愛がってやるけんの 6月6日 まいったわ 昨日はエライ目にあった、リナは死ぬは、わしも殺されかけるわ、さんざんじゃった ダチを連れて行ってなかったら今ごろわしも死んどっとたわー リナがおらんくなったんはキツイが、わしに死姦の趣味はないしの じゃが、金は入った。小娘も痛めつけた。リナのために買っといたオモチャも役に立った 良しとするかの 6月7日 小娘は大丈夫じゃろうか? あんときはドタマに来てたんで気にしなかったが、サツに駆け込まれるとマズイ ま、わしは一~二発殴って、ちょこっとおもちゃ使っただけ。廻したのはダチじゃから、わしは関係ないんじゃが・・・ 6月8日 サツが来る気配は無い 考えてみりゃ、小娘は小娘でリナの奴ば殺しとるから、サツに頼れるわけはないわいな しかし、困った。リナの奴がおらんくなったせーで、部屋がかたづかん 店屋物ばっかじゃ不経済じゃしな、どうにかせんと 6月10日 一年振りに雛見沢に帰ってきた。じゃが誰もおらんようだ 玉枝の奴はおっちんだ。悟史はいなくなったままじゃろう あのガキ、沙都子っだか? どこいったんじゃろうな? まあええ、村のもんに聞きゃ分かるこった 6月11日 沙都子を見つけた。村のモンに聞かんですんだ 正直なとこ、村のモンとは関わりとーないから良かったわ とりあえず、部屋の掃除をさせた 長くほったらかしてたようで、埃だらけだ、これも掃除をしとらん沙都子が悪いんじゃ いろいろと、シツケをせにゃならんようじゃわ 6月12日 通帳。そう、預金通帳だ。考えて見れば玉江もおっちんだ今、通帳さえ見つかれば ダム騒動で兄貴が、国からせしめたワイロは、わしのモンじゃ じゃが、ガキに聞いても知らないといいくさる 家の中にゃあるはずだ、探し回るとするかの 6月14日 ひさしぶりにダチを呼んだ。通帳は見つからない 悟史の奴が持ち逃げしたのかもしれない。なら見つかるはずもない ダチといっしょに麻雀をやった。5万負けた。ちきしょう これもマズい茶を入れたガキのせいだ、おまえが責任とりやがれ 6月15日 日記にも慣れた。リナもおっちんだ今、日記を見せる相手もおらん しかも日記と言っても、そこらにあったノートに書いてる適当な奴だ じゃが、もうすぐページも無くなることだし、なんとなく続けることにする それはそうと、学校からの電話がウザイ 沙都子はダチの相手にいそがしんじゃ、学校なんぞいっとる暇はないわい じゃが、児童虐待で通報されたらそれはそれで困る 十分に言い含めて明日、学校にいかせるか 6月16日 沙都子の担任を名乗る女が来た そういや学校にいかせるの忘れてたわ というより、顔に痣つけたまま学校にやったらそれはそれで面倒な事になるんでやめたんじゃが・・・ 来てしまったものはしょうがいないので家に上がらせ、ダチ特製の茶を飲ませる しばらくしたらトイレに行きたいと言い始めたが、トイレは沙都子とダチが使用中 話も途中なんで、肩をつかんで座らせる 喚きながら暴れはじめたが話が終わってないと強引に座らせる そしたらあんのじょう漏らしやがった、センコーの失禁なんざめったに見れるのもんじゃないのから、 ダチといっしょにはしゃぎ立てた 泣きを入れてきたので、トイレから沙都子を呼んで、先生を見せる これで沙都子もセンコーなんざ、しょせん糞で頼りにならないと思い知ったじゃろ 泣きも入ったことだし、自宅訪問にまで来た先生の顔を立てて、明日は学校にいかせることにするかの 6月17日 ガキは治りが早い。痣も目立たなくなったんで、学校にいかせた 学校も、もう騒がないじゃろ それはそうと、もうすぐ綿流しがあるのお ダチ誘っていってみるか? 6月19日 やばいことになった 綿流しの祭りも中止になった なんでこんなことになったんじゃろう? 昨日、ガキが一人、沙都子を尋ねて来た。追い返そうとしたがしつこかったんで家に入れた そしたらいきなりスプレーを顔にぶっかけやがった どういうつもりかしらないが、わしを殺しに来たようじゃ 不意を突かれたってもガキ殺されるほどわしはマヌケじゃない 勘に任せてドツイたら、上手く当たったらしく、動かなくなった むかついたんでさらにケリをいれようとしたとこで、ダチに止められた たしかに、さらに蹴ってたら、殺してたかもしれん。殺人犯にはなりとーない ダチに感謝し、ガキをダチに譲った ガキの喚く声を肴に酒を呑んでると、沙都子が買物から帰ってきた そこで、そのガキが古手の頭首ってことが分かった じょうだんじゃない、ただのガキならどうってことはないが、御三家の一人じゃないか ガキ自体に力はないが、ガキに危害を加えたのが知られたら、村の有力者を軒並み敵に回すことになる とりあえずダチとガキを放置して、沙都子連れて興宮の他のダチの家に逃げることにした 6月20日 ダチも最初は嫌がったが、沙都子のガキもいっしょだと分かると快諾しやがった。現金な奴だ 雛見沢にゃもうかえれん。ここにも長くは居れん、どうすりゃいいんじゃろうか? 6月21日 沙都子の姉を名乗る小娘が来た。 いきなりスタンガンを喰らわされた 目が覚めたら小娘が二人居た まだ寝ボケてるのかと思ったが、どうやら現実で、そいつらは双子らしい 二人仲良くダチに廻されてた ダチが言うには、わしが倒れた後、止めを刺そうとナイフを取りだそうとした所を取り押さえたらしい で、しばらくすると、同じ顔した奴が尋ねてきたので、とりあええず、スタンガン食らわしたらしい あとは姉妹仲良くおしおきしてたらしい むかついたので、ダチにダチを呼ばせて、パーティーを開くことにした 稼ぐだけ稼いだあと、沙都子も混ぜようとしたら、片方は園崎家の時期頭首だと言いやがった 古手に続いて、こんどは園崎じゃと? 即座に沙都子を連れて、ダチの家から逃げ出す 逃げた後、ダチの家の方に向う、黒塗りの車数台とすれ違う すれ違った車の中に葛西のツラがあった気がする 本気でやばい。やばすぎる 園埼組の息のかかってないカプセルホテルに逃げ込む とりあえずは始発を待って・・・ 東京にでも行くか? そこまでいけば園埼組の連中も何も出来まい 金はナントカある、通帳が見つからなかったのはくやしいが、今更戻れるはずもない ええい、なんでわしがこんな目にあうんじゃ!、わしはただ楽に生きたいだけじゃのに!!! 6月22日 神さんはわしの味方をしてくれたらしい 問題が全て解決した 詳細はしらんが、ガス災害とやらが雛見沢で起こったらしい しかも、それにあの葛西も巻き込まれたっていうじゃないか 古手のガキも、園埼の小娘もまとめておっちんだ オヤシロサマ、じゃったか? に感謝せにゃあかんね~ 6月23日 沙都子の様子がおかしい わしと違って、雛見沢にダチがおったようじゃからしょうがいないかもしれんが・・・ウザイ メシも喰おうとしない 6月27日 いいかげんメンドウになってきた。 だいたい、わしだって一連の騒ぎで、ダチは全滅したんじゃ、寂しいのはおまえだけじゃないわ 7月1日 大災害の騒ぎもだいぶ落ちついてきた 沙都子も明るくなった 何がどーなったかしらんが、わしのことをにーにーと呼んで慕うようになった 最初からこういうふうに可愛げのあるとこ見せてりゃ、わしだって、 ちったー優しくしてやろうと言う気になるってもんだ 7月7日 沙都子の興宮の学校への転入手続きが終わった 明日から学校も再開されるらしいので、それにあわせて登校させることにした 生活費も当面は困らない 被災者として登録できたんで、見舞金として結構な額が振り込まれることになった ようやく運が向いてきたようじゃ 7月27日 これが最後のページ。日記も今日で終わり リナが生きてりゃ大威張で見せたんだが、まあしゃーないわな 沙都子がよく笑うようになった、わしもそれにつられて笑うようになった 下手にトラブル起こすと、見舞金が下りなくなるので、適当に回りに合わせたのがよかったらしい 新しい友人もできた、言葉遣いも少し正した、刺激は少ないが、酒は呑めるし金もある こういう暮らしも、案外悪くないものだ 考えて見りゃ、沙都子は、あの人の子だ。兄貴には勿体無さ過ぎるほどのどえらい美人の娘だ 大きくなれば美人になるじゃろう、あと5~6年ってとこじゃろうか?? わしの未来、バラ色じゃ!
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コロコロコミック 60 名前:水先案名無い人 :2005/06/25(土) 03 16 19 ID dkSgkl1R0 懐かしのコロコロコミック掲載作入場!! 死んだはずなのに生きていた!! 蟲の大群を撒き散らし一家まとめて甦った!!! 腐乱!! 魔界ゾンべえだァ――――!!! メディアミックスはすでに我々が完成している!! 大長編ドラえもん『のび太の恐竜』だァ――――!!! (ジェットコースターが)暴走ししだい止めまくってやる!! 哀しき改造人間 サイボーイだァッ!!! 拳銃の撃ち合いなら我々の立場がものを言う!! 愛銃ベレッタ M93R リトルコップ・弾!!! 真のぶっとびを知らしめたい!! 実は教師の息子 のんきくんだァ!!! TVアニメは3ヶ月打ち切りだったが単行本なら全20巻の大台だ!! 流血サッカー がんばれ!キッカーズだ!!! 打ち切り対策は完璧だ!! おちよしひこ スーパービックリマン!!!! 全掲載作のベスト・ツッコミは私の中にある!! 読者投稿ページの看板が来たッ スネ髪コーナー!!! タイマンなら絶対に敗けん!! パスポート所持者のケンカ見せたる 樫本学ヴ ぼくらはドラゴン少年団だ!!! 魔球忍術(なんでもあり)ならこいつが怖い!! 野球漫画の男塾 かっとび!童児だ!!! 田宮模型から炎の竜(ファイヤードラゴン)が上陸だ!! ラジコンバトル漫画 ラジコンボーイ!!! 家族にいい生活をさせたいからゴルファー(守銭奴)になったのだ!! プロの旗包みを見せてやる!!プロゴルファー猿!!! めい土の土産に顔面ケツの穴とはよく言ったもの!! 名人の奥義が今 実戦でバクハツする!! ファミコンランナー 高橋名人物語だ―――!!! 動物王国こそが地上最強の代名詞だ!! まさかこの男がきてくれるとはッッ ムツゴロウが征く!!! レースがしたいからここまできたッ コース一切不明!!!! ミニ四駆のエンペラー(皇帝)ファイター ダッシュ四駆郎だ!!! ぽっくんは日本最上品ではなか全宇宙で最上品ぶぁい!! 御存知上流階級ギャグ おぼっちゃまくん!!! 特撮の本場は今やコロコロにある!! 私を驚かせる奴はいないのか!! ウルトラ怪獣かっとび!ランドだ!!! べびょぉぉぉぉんッ走行不能!! 唸る電ドリ!!! 忘れちゃいけないブレークイン!!! ミニ四ファイターだ!!! 超能力は実戦で使えてナンボのモン!!! 超実戦サイキック!! 本家日本からサイキッド謎丸の登場だ!!! ボールはオレのもの 邪魔するやつは思いきりぶつけ思いきりアウトにするだけ!! 炎の闘球児 ドッヂ弾平 ガイ魔王復活を阻止に赤霧へきたッ!! 超能力ホラーバトル サイファー!!! ゲーム拳に更なる磨きをかけ ”ファミコンロッキー”轟勇気が帰ってきたァ!!! 今の自分に毛根はないッッ!! つるセコーつるピカハゲ丸!!! 中国四千年の拳技が今ベールを脱ぐ!! 香港から あほ拳ジャッキーだ!!! 異次元侵略者の前でならオレ達はいつでも全力だ!! 燃えるエスパー ユー・コップ 読み切りで登場だ!!! てめーら勉強はどーしたッ コレクターの炎 未だ消えずッ!! 探るも当てるも思いのまま!! 少年ビックリマンクラブだ!!! 特に理由はないッ 超人がアホいのは当たりまえ!! オヤジの名前はないしょだ!!! 金太舞次郎! 超人キンタマンがきてくれた―――!!! パ・リーグで磨いた実戦野球!! 森監督率いるデンジャラス・ライアン(ズ) かっとばせキヨハラ君だ!!! 実戦だったらこの漫画を外せない!! 超A級用務員 熱血カンフー倶楽部だ!!! 超一流ガキ大将の超一流の喧嘩だ!! 生で拝んでオドロキやがれッ Moo.念平の日本男児!! あまいぞ!男吾!!! シールつき菓子はこの商品が完成させた!! ロッテの切り札!! ビックリマンだ!!! 二十二世紀の青ダヌキが帰ってきたッ どこへ行ってしまったンだッ 藤子・F・不二雄先生ッッ 俺達はあなたを忘れないッッッドラえもんの登場だ――――――――ッ 加えて負傷者発生に備え超豪華なリザーバーを4作品御用意致しました! 連載六ヶ月 仮面ライダーBLACK!! テレポーテーション エスパー魔美!! 熱血硬派!おれは男だ!くにおくん! ……ッッ どーやらもう一作は記憶が薄れているようですが思い出ししだいッ 皆様に御紹介いたしますッッッ 新装版ドラえもん発売に合わせたかったネタだが…だいぶ遅れちまったなぁ 関連レス 64 名前:水先案名無い人 :2005/06/25(土) 03 26 01 ID LN3BF75x0 懐かしい!GJ! でもサイファーだけが何故か随分新しい気がする… 65 名前:60-63 :2005/06/25(土) 03 30 56 ID dkSgkl1R0 64 ㌧クス。確かに新しいけど、実はくにおくんも同じくらいの時期だったりする。 この二作は個人的に好きだったんで入れときたかったのさ。 しかし95年て…考えてみると俺この時期までコロコロ読んでたのかw 66 名前:水先案名無い人 :2005/06/25(土) 10 28 46 ID eVx5f7uI0 おれ、いつまでコロコロ読んでたかなあ・・・ スネカミコーナー終わったあたりかな。 マナヴの「学級王ヤマザキ」とかリアルで読んでた世代だもんな。 コメント 名前
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今でも時々、夢を見る。 ジロウさん、あなたが「こんなことはやめるんだ」と言って。 私は悩んで、でも結局は頷いて、「そうね、やめましょう」と答える。 それで何もかもが終わりになる、そんな夢。 でも、そうはならなかったからこそ、今の私がある。 あそこでジロウさんの言葉に頷いていたら、 私は「東京」の手で亡き者にされていただろう。 彼らにとっては、あの事件は「起きなければならなかった」のだから。 それでも時々、私は夢を見る。 何も起こらず、何もかもが平穏に過ぎていく夢を。 「これで、終わりですね」 入江は最後の資料をファイルに綴じると、それを私に差し出した。 「日付は鷹野さんが書き込んでください。それはあなたの役目だと思います」 「……ありがとう」 私はファイルの表紙に、今日の日付を書き入れる。昭和61年3月31日。ファイルのタイトルは、 「雛見沢症候群の研究と治療に関する最終報告書」。これで本当に、入江機関の……いえ、おじいちゃんの研究は全て終わったのだ。 「終わりね」 「終わりましたね」 私と入江は、どちらからともなく同じ台詞を繰り返し、頷きあった。 明日には地下施設への注水が行われる。入江は自衛隊を退官し、その退職金で地上の診療所を買い取ることが決まっている。今度こそ一人の医者として、この村に骨を埋めるのだそうだ。 私もこの村に残ることにした。もう何年も住み慣れた村だし、入江にも「医者としてでも看護士としてでも構わないから、ぜひ診療所に残って欲しい」と言われている。 選択する自由はあった。 昭和58年6月の事件の後、私は高度な政治的取引と、ジロウさんの奔走のお陰で極刑を免れた。監視付きの身分ではあるが、牢獄に繋がれることもなかった。 これには、私が雛見沢症候群研究の第一人者だったということも有利に働いたらしい。 雛見沢症候群の危険さは、皮肉なことに私自身が身をもって表した。それを目の当たりにした政府は、何としてでもこの危険な病を早急に撲滅しなければと判断したのだ。 それで、懲罰委員会は私への厳罰を諦めた。下された判決は呆れるほどに軽く、しかも執行猶予付き。ただし、条件は雛見沢症候群の研究・治療に従事すること――つまり、牢屋で項垂れている暇があったら、1日でも早く雛見沢症候群を撲滅しろという命令だ。 それはつまり、以前と何も変わらない暮らしだった。診療所に訪れる患者たちからこっそりとサンプルを集め、既に発症している患者には治療を施し、地下の研究室で予防薬と治療薬を開発する。変わったのは、自分自身が症候群の感染者として、サンプルを提供することもあったぐらいか。 それから3年。私と入江は、文字通り寝食を惜しんでこの病と闘い続けたかいあって、雛見沢症候群の予防薬を完成させることに至った。完全ではないが、治療薬も形になっている。北条悟史・沙都子兄妹の経過を見る限りは、たとえ過去にLV5を発症した患者でも、予防薬との併用で問題なく生活していける。 これで私に科せられた条件はクリアした。私は自由で、もう雛見沢に残る理由はない。幸いにも医師の資格は剥奪されなかったから、どこか知らない街で暮らして行くことも容易かった。 でも、私はこの村に残ることを選んだ。 この村は「おじいちゃんの村」だ。おじいちゃんが研究し、おじいちゃんの研究のお陰で平穏を保たれた村だ。そしておじいちゃんへの思慕を超えた妄執のために、私が滅ぼそうとした村だ。 この村にいる限り、私は私の罪を忘れない。私のするべき罪の償いを忘れない。残る理由は、それで充分だった。 結局のところ、研究所が閉鎖されても、私の暮らしは以前とほとんど変わらずに続くというわけだ。あんな事件を起こしたにも関わらず、まるであんな事件などなかったかのように。 ……いいえ、違う。変わったこともある。どうしようもなく変わってしまったことも。 ジロウさん。私は胸の中で、その名前を呼ぶ。私をあの闇の中から救い出してくれたひとの名を呼ぶ。それは、一番近くて遠いひとの名前だ。 あの後、ジロウさんは私を助けるために奔走し、そのために私との接触を避けなければならなかった。罪人と証言者、あるいは監査対象と被対象者があまりに親密では、証言の信憑性が揺らいでしまう。 だからジロウさんは、私と特別な関係であったことをひた隠しにした。監査のために雛見沢を訪れることがあっても、2人で過ごせる時間はいつもほんの僅かだった。 症候群の発作が起きて、世界がみんな私を拒んでいるような気持ちになって、誰かに抱きとめていて欲しいと願う夜。そんな時でも、電話をかけることさえできなかった。せめて声だけでも聞けたらいいのに。そう思いながら、あのひとの優しい声だけでも思い浮かべようとする。そんな夜を何度繰り返しただろう。 これからも、それは変わらない。少なくともあと10年、事件のほとぼりが冷める頃までは、私とジロウさんは今の距離を保つしかないだろう。 いつまでそんな不安定な関係が続くだろう。それはとても怖い想像だ。ジロウさんは不器用だけど優しい人で、彼自身が思っているよりはずっと、女性にとっては魅力的な男性だと思う。 そんな彼の前に、私より綺麗で若くて、いつでも彼の傍にいられる女性が現れたとして……それでもジロウさんは、私を好きでいてくれるかしら? それはとても怖い想像。いえ、怖くて現実的な予想。 たぶん、これこそが私への本当の罰なのだと思う。本当に大切で欲しかったものに気付かず、どうすることもできずそれを失う。そして永遠に1人で歩いていくしかない…… 「……さん?……鷹野さん?」 そんな暗い思考の闇に落ちそうになっていた私を引き戻したのは、入江の声だった。 「大丈夫ですか、鷹野さん?」 急に体調を崩したとでも思ったのだろうか。それともほとんど完治したはずの症候群が、ここでまた発作を起こしたのかと思ったのだろうか。入江の声は不安げだ。 私は首を振り、少し無理に笑顔を作って、そうではないと否定する。 「大丈夫よ。これで終わりだと思ったら、ちょっといろいろ思い出してしまって……柄じゃないわね」 「いえ、私の方こそすみませんでした。鷹野さんの気持ちも考えず……」 入江は面目ない、という顔で何度か頭を掻いて、それからふと思いついたように立ち上がった。 「鷹野さん」 「はい?」 「最後です。研究所の見納めをしましょうか」 「……そうね」 それはあまり入江らしくない提案だとは思ったが、私は素直にその誘いに乗ることにした。私の罪の象徴のような場所。そこを最後に目に焼き付けておくのも悪くない。 階段を下り、ひとつひとつ部屋を巡る。その全てに私の罪の記憶がある。消えない過去に想いを馳せれば、歩みは自然と遅くなり、最後の部屋を出る頃には小1時間も経っていた。 そこで、入江の表情が急に変わった。言葉にするなら、それは「にんまり」。もっと具体的に言うなら……それは、誰かにメイド服を着せる算段が整った時のような顔。 「うん、ちょうどいい時間ですね。そろそろ頃合です」 「こ、頃合って……?」 「行きましょう鷹野さん。みんなが主役を待ってますよ」 入江は私の返事も聞かず、私の手を引いて階段を上っていく。わけがわからず、私はされるがままに入江の後を追う。 そこには、予想外の人物が待ち構えていた。 「ナイスです。ちょうどいいタイミングです」 「うん、監督にしては上出来だね! おじさん感心しちゃったよー」 園崎の……双子姉妹? なんで彼女たちがここに……!? 「監督。向こうの準備の方、お手伝い頼んじゃってもいいですか?」 「もちろんですよ。それでは鷹野さんをよろしくお願いします」 「え!? ちょっと、入江先生!? 園崎さん!?」 まだ入江に掴まれたままだった手は、そのまま園崎姉妹に引き渡された。 左右を姉妹にがっちりと掴まれ、私は一番手前の処置室に引きずりこまれてしまう。 そしてそこに準備されていたものを見て、私は今度こそ絶句した。 「あ、監督だ! うまく行ったのかな? かな?」 「ばっちりだよレナちゃん。今、詩音さんと魅音さんにお願いしてきた」 「そりゃばっちりだぜ監督! なあ、どれぐらいで準備できるかな?」 「魅音と詩音の2人がかりなら、30分もかからないと思うのですよ、にぱー☆」 「で、でもああいうのって、すごく時間がかかるんじゃないかな? 大丈夫かなあ……むう」 「ねーねーが付いているんですのよ? 心配しなくても大丈夫ですわ。それより監督、 こちらはいいですから早く着替えて来てくださいまし。白衣じゃ締まりませんことよ!」 「ええ、わかりました。それじゃあみなさん、こちらの仕上げをよろしくお願いします」 「おお、任せとけ! 部活メンバーの総力を挙げて仕上げてやるぜ!」 「おーーーーー!!」 今でも時々、夢を見る。 これも夢だと思った。 だってこんな優しい現実が、私に訪れるはずがない。 これはきっと、孤独な私が私自身に見せた夢。 私の都合の良い夢。 待合室までの廊下には、どこから持ってきたのか、赤い絨毯が引かれていた。少し汚れている。もしかしたらレナちゃんが、ゴミ山から探してきたのかもしれない。重かったでしょうに。 シンプルなデザインのドレスは、園崎姉妹のお手製。「いやあ、興宮のおじさんのお店はもっと豪華なのあったんだけどねえ。やっぱそういうお店のお古じゃまずいでしょ?」「おねえにしては空気を読んだ、いい判断ですよね。褒めてあげます」「な、何よ詩音ー!」なんて、2人して大騒ぎしながら着せてくれた。 白いハイヒールは、前原くんのお母さんのもの。「借りてきたものがあると、縁起がいいんだろ?」……そんなお伽噺、男の子がどこで聞いたのかしら。 ブーケは造花だった。春の遅い雛見沢では、まだ野の花も咲いていない。作ったのは北条兄妹だと聞いたけれど、たぶん沙都子ちゃんがほとんど作ったのよね。だって悟史君はあんまり手先が器用じゃないもの。華麗なトラップをいくらでも生み出す沙都子ちゃんの器用さが、悟史くんにも少しはあれば良かったのに。 同じ造花を手にとって、絨毯に撒き散らしながら私を先導していくのは梨花ちゃん。「オヤシロの巫女である僕が祝福するんだから、幸せ間違いなしですよ、にぱー☆」と彼女はは笑う。 夢だ。これは夢だ。全部ただの夢なんだ。 だってありえない。 なんで彼らが私にこんな準備をしてくれるの? 純白のドレス。青いリボンを結んだブーケ。赤い絨毯。 その先……造花やら紙テープやらで飾り付けられた診療所の待合室に、 なんであなたがいるの? ここにいないはずのあなたが、なんでそこで待っているの? ねえ教えて、ジロウさん――! 「鷹野さん……いや三四さん」 ジロウさんが、困ったように微笑む。 「実はね、僕がみんなに頼んだんだ。もし……もし三四さんのことを許してくれるなら……僕と三四さんが幸せになることを許してくれるなら、僕のプロポーズに協力してくれないか、って」 そう言うジロウさんの顔は真っ赤だ。ううん、たぶん私の顔も真っ赤だと思う。なんだか恥ずかしくて、まともにジロウさんの顔が見られない。 「ほ、ほら、僕たち当分、籍も入れられないし、式なんか挙げられそうにないだろう? でも、やっぱりその…… ちゃんとしておきたかったんだ、こういうことは。内々だけでもいいからその、披露宴っていうのかな。そういうものをしておきたかった。 だって僕はその……鷹野さんのことを、あ、愛してるし、いつも傍にいることはできなくても、ずっと一緒に歩いていきたいと思ってて、その……」 「ジロウさん……」 「い、いやだった、かな?」 ジロウさんの顔が、今度は見る見るうちに青くなる。2人して相手の顔も見られずにいるのに、手に取るようにそれがわかった。 「いやだったらいいんだ! 三四さんがいやなら、このことは一切なかったことに! そ、そうだ。ちょっとした仮装パーティだったと思ってくれれば!! そう、雛見沢症候群の研究終了のパーティってことで――」 「ま、待ってくれよ富竹さん! ちょっと落ち着いて!」 なんだか雲行きが怪しくなってきたのを見かねたようで、慌てて前原くんが割って入る。同時に梨花ちゃんと沙都子ちゃんの2人も割り込んできた。 「富竹、そんな風にまくし立てたら、鷹野だって答えられないのです」 「そうですわ。それにおじさま、鷹野さんだってこの服を着ることの意味ぐらいはわかっていらっしゃると思いますのよ? ですから答えなんて半分は出てるも同じなんでございます! 落ち着いてくださいませ!」 「でも、レナは富竹さんの気持ちもわからなくはないかな」 「偶然ですね。私もわかりますよ」 顔を合わせて頷いたのは、レナちゃんと詩音さん。 「だって、レナはやっぱり、ちゃんと言葉が欲しいんだよ、だよ?」 「そうですよ。やっぱり好きな人には、それを言葉でも態度でも示して欲しいものですから」 そう言いながら、詩音さんは横目で悟史君を見た。いきなり視線を振られた悟史君が、むうと呻きながら頭をかくのが見える。 そんなことに気付くぐらいには、私は落ち着いたらしい。 私はひとつ深呼吸すると、さっきから頭を混乱させていた疑問のひとつを、思い切ってぶつけてみることにした。 「ねえ、梨花ちゃん。ひとつ訊いてもいいかしら?」 「なんです? 鷹野」 「さっき、ジロウさんが『もし私を許してくれるのなら協力して欲しい』とお願いした、と言っていたわよね」 「はい、間違いないのです」 「……許せるの? 私を」 「もちろんなのですよ」 即答だった。こちらが息を飲むほどの。 「雛見沢症候群が怖い病気じゃなくなったのは、鷹野たちのおかげなのです。悟史を治したのも、沙都子を治したのも鷹野たちなのです――鷹野。考えても見なさい」 梨花ちゃんの声が、途中でその雰囲気を変えていく。 「罪のない人間なんていないわ。私にも罪がある。沙都子にも罪がある。圭一にもレナにも悟史にも、魅音にも詩音にも入江にも罪がある。私が知らないだけで、富竹にだってきっと罪はある」 ああ、この声は忘れもしない。オヤシロ様の巫女の声、神託の声だ。だとしたら、これは人の罪を裁く神の声? でも、その声が告げたのは断罪ではなかった。 「でもみんな、その罪と向き合って、償って、そしてそれを許されながら生きて来た。鷹野。あなたはこの村で、自分の罪を償い、罪と向き合って生きて行くことを選んだ。鷹野。私はあなたの罪を許します。そして鷹野――」 そこで梨花ちゃんは笑った。まるで祝福の花のような笑顔で。 「鷹野はもう、僕たちの大事な仲間なのですよ。だから、僕らはみんなで鷹野の幸せをお祝いしたいのですよ」 夢だ。こんなのは夢だ。 罪が許されて、祝われて。 そんなことがあるはずがない。 でも、だとしたら、頬を伝う涙がなんでこんなに熱いんだろう? 「……ありがとう、梨花ちゃん」 私がそう言うと、梨花ちゃんはにっこりと頷いた。 その向こうでは、ジロウさんが入江と前原くんになだめられたり励まされたり、大騒ぎが続いていた。 私はもう1度、深呼吸する。ねえ、オヤシロ様。もし貴方への祈りが許されるのだとしたら、少しだけ勇気を頂戴。 「あうあう、心配しなくても大丈夫なのですよ。僕は縁結びの神様なのです☆」 ……そんな声がどこからか、返ってきたような気がした。 「ねえ、ジロウさん」 「な、な、何かな、三四さん」 「あの……もう一度、最初から……ちゃんと言ってくださる?」 「ちゃ、ちゃんとって……」 「だから、私とどうしたいのか。これからどうして行きたいのか、もう1度。そうしたら私……今度こそ頷くわ」 今でも時々、夢を見る。 ジロウさん、あなたが「こんなことはやめるんだ」と言って。 私は悩んで、でも結局は頷いて、「そうね、やめましょう」と答える。 それで何もかもが終わりになる、そんな夢。 それは今となっては夢でしかないけれど、私はもう、間違えない。 今度こそちゃんと頷いて、貴方の手を取るわ。 ねえおじいちゃん、見ていてくれる? 三四が好きになった人はこんなにも素敵なのよ。 おじいちゃんが救った村は、こんなにも素敵なのよ。 ねえ、おじいちゃん―― もう醒めない夢の中、仲間たちの祝福の声が上がる。
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「よし……ここらでいいな。 へへへ……」 人気のまったく無い、学校の校舎裏……。 日陰になり日光のまったく当たらないそこはとてもうす暗く、梅雨時のジメジメした空気をより一層重く感じさせていた。 その普段なら誰も近寄らないような場所で、その男、前原圭一は嫌な含み笑いをしていた。 彼はこれからここで自分が起こす出来事を思い浮かべると、くっくっくと堪らなさそうな笑みを浮かべる。 そしてそんな不気味な圭一のそばには、ある二人の少女が不安そうな顔で彼に付き添っていた。 「いったいなんなんですの、圭一さん。 わ、わたくし達をこんなところに連れてきて……」 「みぃ……なんだか今日の圭一、少し怖いのです。 何を考えてるのですか……?」 その二人の少女……沙都子と梨花の問いに圭一は何も答えない。 ただあいかわらずの含み笑いをするだけである。 それが余計に二人の不安感を一層煽っていく……。 授業終わりの放課後。 とある事情で、沙都子と梨花の二人は圭一にこの校舎裏に連れて来られていた。 この怪しげな場所に……。 元は営林所を間借りしている学校なだけあり、ここの敷地内には工事用具などが置いてある倉庫が多くたたずんでいる。 二人が連れてこられたこの校舎裏もそのご多分に漏れず、外からはほとんど誰の目も届くことが無くなるほどの死角地帯になっていた。 まだ太陽が空に浮かんでいるこんな昼間でも、おそらくまだ校庭や教室に残っている生徒にも、ここに人がいるなどと知られることはないだろう……。 誰にも見られる心配がなく、そして余計な邪魔が入る心配も無い場所……。 その響きはどう考えても健全と呼べるものではない。 圭一はこれから自分がしようとしているゲームに最も適した状況に、おもわず口元をにやけさせた。 「くっくっく……さーて梨花ちゃん、沙都子。 これからここで何をするかわかるか?」 邪悪な微笑みを浮かべながら、圭一が二人に質問する。 だが沙都子と梨花はわかるわけがないと、フルフルとその可愛らしい顔を振るのみだ。 「わ、わかるわけありませんわ。 一体何を考えてますの、圭一さん……」 「ボク、怖いのです……ボク達これから何をされちゃうのですか……?」 お互いがお互いを庇うように、身を寄せ合いながらフルフルと震えていく沙都子と梨花……。 まるでこれからこの男にイタズラでもされてしまうといった感じの怯えっぷりだ。 そんなに怖いのならば逃げ出せばいいのに……といったところだろうが、二人にはそれが出来ないとある事情があった。 もはや恐怖の対象とすらいえる圭一を目の前にしながら、沙都子と梨花は自分達がこの境遇に陥っている原因を思いだしていった……。 今日も一日の授業が終わり、自分達をはじめとするメンバー五人で毎度おなじみの部活を行った。 お題はトランプだったか、それとも犯人当てゲームだったか……。 今の沙都子と梨花にとってはもはやそんなことはどうでもいい。 とにかく、自分達はその部活での「敗者」になってしまった。 運が悪かったのかそれとも実力によるものなのか、見事に同着ビリナンバー1を二人で手に入れてしまったのである。 だがそれだけならまだ望みはあった。 罰ゲームはもちろん嫌だが、一位の人間によってはまだガマンできるものもあるからだ。 せめて魅音かレナが一位を取ってくれたなら……。 そんな甘い考えが二人の頭の中をよぎっていた。 事実二人のビリがほぼ決まる直前は、まだどちらかがトップになるかのようにも思えたのだ。 だが、現実は非情だった。 沙都子と梨花がビリだと決まった途端、あの男が驚異的なスピードでトップに躍り出たのである。 それが今自分たちの目の前にいるこの男……。 前原圭一だった。 圭一はそれまではわりと普通のゲーム運びだったくせに、沙都子と梨花のビリを見届けるとイカサマじゃないかと思えるほどの試合運びで見事トップを勝ち取ったのである。 結果……少なくとも今この時間だけは、梨花と沙都子の人権は全て圭一に委ねられた。 この薄暗い校舎裏でどんなことをされても、どんなことをさせられても少女達には拒否する権利は無いのである……。 「へへへ……さぁ、いったい何をしちまおうかなぁ? 沙都子と梨花ちゃんは、これから俺にどんなことされちまうんだろうなぁ~? んっふっふ……」 「ス、スケベな顔ですわ……。 わたくし達、この男に何をされてしまいますの……」 「今の圭一は悪いネコさんなのです。 これは絶対ロクでもないこと考えてるお顔なのですよ、沙都子……」 どこぞの刑事がするような笑い方をする圭一に、沙都子と梨花は一層不安を募らせていった。 すると圭一はニヤリっと口元を曲げ、悪意とも取れるような邪悪な顔をして彼女達に口を開いた。 「二人とも、一応確認しとくぜ? 俺たち部活メンバーのルール……敗者は勝者の言うことをなんでも聞く、だったよなぁ?」 「……そのとおりですわ」 「……はいなのです」 圭一の念入りな「再確認」に、二人は憂鬱な顔で答えた。 部活の罰ゲームは、絶対。 どんな嫌なことであってもかならず実行しなければならない。 それだけは圭一がこの雛見沢にくる前から部活を行っていた二人には、痛いほどよくわかっていることだ。 絶対服従を意味するこんな「確認」までして、一体この男は幼い自分達に何をするつもりなのだろう……。 まさかこんなにも幼い自分達に、この男は卑猥なことをしようとしている? それを一瞬でも考えると、二人の体に寒気がするほどの悪寒が襲ってくる。 そんな中、沙都子は勇気を振り絞ってその言葉を……言った。 「あの……け、圭一さん。 せめて梨花は……梨花だけは勘弁してあげて下さいませんか……?」 自分だって本当は怖いだろうに、沙都子はそう健気に言った。 どうせ二人とも手篭めにされるのなら、せめて親友である梨花だけはなんとか助けて欲しいと勇敢にも圭一に願い出ていったのだ。 そしてこれは圭一にとっても予想外のことだった。 てっきり二人して自分に怯えるだけの羊になるかと思いきや、まだ他人をかばう余裕があったのかと、圭一は沙都子の言葉を少しだけ聞いてやろうという気になっていった。 「ほぉ……梨花ちゃんだけは、だって? それはどういうことだぁ、沙都子」 「……はい。 圭一さんがわたくし達に何をしようとしてらっしゃるかわかりませんけど、どうか梨花だけは見逃してあげて下さいまし。 いやらしいことをしたいのなら、どうかわたくしだけで……」 そう圭一にすがるようにしながら言うと、沙都子は健気にも小さな頭をペコペコと下げていく……。 本来ならこれは敗者である「二人の罰ゲーム」である。 沙都子のこのお願いは、さきほど確認された罰ゲームは絶対というルールを破ってくれといっているものだ。 それはメンバーならば絶対にしてはいけないことであるし、圭一もこんなメリットのない提案をわざわざのむ必要はない。 だが沙都子はそんなこともわかっていて、それでもなお親友の為に目の前の圭一に頭を下げていくのだ。 「おねがいします、圭一さん。 どうか梨花は、梨花だけは助けてあげて下さいまし……」 「ほっほ~。 梨花ちゃんだけは、ねぇ? んーどうするか……」 「はい……おねがいしますわ……」 スケベなこと考えてます丸出しの圭一にも、あくまで丁寧に頭を下げていく沙都子。 彼女にとっては梨花は一番の大親友。 もしかしたら友情以上の感情も持ち合わせているのかもしれないが、それは今は関係ない。 とにかくこのスケベ男の毒牙から梨花を逃れさせようと、可愛らしい金髪の頭をペコペコと降ろしていった……。 そんな必死に自分をかばっていく沙都子の姿に、当の梨花も黙っていられるわけがない。 「さ、沙都子、そんなのダメなのですよ。 これは二人の罰ゲームなのですから、ボクちゃんとも罰を受けるのですよ……」 「梨花は黙っていてくださいまし……。 こんなことに付き合うの、わたくしだけでいいんですわ。 わたくし一人だけで……」 「で、でも……でもでも、そう言うならボクだって。 ボクだって沙都子のこと……」 沙都子がこんなにも自分を想ってくれているように、自分だってあなたを負けないくらいに想ってる。 梨花はおもわずそう続けようとした。 だが、梨花は考えた。 長年生きている自分だからこそ、沙都子とはちがうやり方でこの状況を脱せないものかと……考えた。 こんなスケベ男に愛する沙都子を取られるわけにはいかない。 なんとか方法がないものかと少し考えて……しばらくするとすぐにその答えは見つかった。 大丈夫、普段からよくやっていること。 私はこの変態男からあなたを守ってあげるわ……。 心の中でそう唱えると、梨花はあのにぱ~♪とした笑顔を作りながら圭一に大胆な行動にうってでていった。 「……け、圭一~♪ だ、大好きなのですよ~♪ にぱ~♪」 この状況でいきなりこれはちょっとわざとらしすぎるかなとも思ったが、梨花はそんな甘いセリフを吐きながら目の前の圭一に向かって駆け出していった。 できるだけ可愛さをアピールできるよう両手を広げると、梨花は目の前にいた圭一にガバっと抱きついていったのである。 「おおっと……ど、どうした梨花ちゃん? いきなり抱きついてきたりして……」 「圭一~けいいちぃ~♪ ボク、圭一のこと大好きなのですよ~♪ 」 「ん……へへへ、どうしたんだ急に? 梨花ちゃんらしくねぇなぁ……」 梨花の予想だにしない行動に、圭一は当然驚きの声をあげる……が、わりと冷静に抱きついてきた梨花の頭をナデナデしていった。 てっきり慌てふためくと思っていたのに……圭一の意外な平静っぷりに、梨花はおもわず心の中でチッと舌打ちをした。 だがここで演技を止めるわけにはいかない。 この男をなんとか誘惑しなくては沙都子を救えないのだからと、梨花は更に猫撫で声で圭一に甘えていく。 「あの……あのですね、圭一? ボク、お願いがあるのです……。 大好きな圭一にぃ、お~ね~が~い~なのです~♪」 「ほー……お願いねぇ。 なんだ梨花ちゃん、言ってみろよ?」 しめた、と梨花は思った。 やっぱりこの男単純スケベだ、とも思った。 できるだけウルウルとしたひとみを作りながら、梨花は上目遣いで圭一の顔を見つめていく……。 「その……エ、エッチなことがしたいならボクに……ボクだけにシて下さいなのです♪ 沙都子にはしないで……ボク、嫉妬しちゃうのですよ? みぃ……♪」 「おいおい梨花ちゃん、俺がいつそんなことするって言った? まだ罰ゲームの内容は言ってないぜ?」 「みぃ、隠したってわかるのですよ……。 圭一はボクにシてみたくはないのですか? すごくエッチなこと……」 「………………………」 顔をほんのりと赤くしながらの、幼女の甘い囁き……。 それに圭一が反応しないはずがなかった。 本来なら彼には別の目的があったのだが、この梨花の誘惑にはおもわずゴクリと生唾を飲み込まずにはいられない。 いっそこのままこの要求を受け入れてしまおうか……などと考えていると、それをポカンとしながら見ていた沙都子も負けじと口を挟んでくる。 「な、何しているんですの梨花! わ、わたくしがすると言ってるでしょう!」 自分が梨花を守るはずだったのに、いつのまにか自分の方がかばわれてしまっている。 沙都子はその場をダっと駆け出すと、梨花と同じように圭一の体に抱きついていった。 ちょうど彼のお腹のあたりにしがみつき、梨花よりも勝っている部分を餌にして「お願い」していく。 「ぺ、ぺったんこな梨花なんてどうせよくありませんわよ? わたくしの身体の方が、レディーとして上等なんですから……♪」 そう言って沙都子は、ムニュムニュ♪っと自分の微乳を圭一の下腹部に押し当てていった。 もちろんこの言葉も梨花を守るためのものであって本心ではない。 だが今はなんとしても圭一を自分に欲情させ、「自分だけ」に興味を引かせることが必要なのだ。 そう考えた沙都子は、唯一梨花に勝っている点。 年の割にはやんわりと膨らんでいる乳房で圭一を誘惑していったのである。 大きさで勝っていることは、普段お風呂に一緒に入っているので分かっている。 ムニュ、ムニュ、ムニュニュニュ♪ 「ほら、ほら、圭一さんどうですの? わたくしも少しは育ってるんですのよ、ほら、ほら、ほらぁ♪ 梨花よりいいでしょう? 膨らみかけのおっぱい、圭一さんの大好物ですわよ……♪」 「お、おおう、こ、これは……沙都子、おまえ……」 プニュップニュッと押し付けられてくる感触に、圭一ははからずも欲情してしまった。 そのおっぱいを押し付けられて気持ち良さそうな顔をする圭一に、隣にいた梨花も嫉妬したとかしないとか……。 沙都子に負けじと自分のナイチチをペタンペタンと、圭一の下腹部に押し当てていった。 「圭一、けいいちぃ、ボクの方がいいですよね? 圭一はつるぺったんな女の子が好きだって、この前も言ってたのです♪ ボクちゃんと覚えてるのですよ? にぱ~♪」 「あ、ああ、俺は梨花ちゃんみたいなのも好きだぜ……って、おお、こ、これは……」 沙都子とはまたちがった感触が、圭一の頭をとろけさせていった。 柔らかさはまったく感じないが、制服越しにコリコリとした二つの突起がこすり付けられるのにおもわず勃起しそうになった。 左側には梨花、そして右側には沙都子……。 二人の幼女が揃って自分を誘惑してくるという有り得ない状況に、圭一はおもわずこのまま二人とも押し倒したくなる衝動に駆られた。 この年で男である自分に胸を押し付け、したたかにも自分を選べと誘ってくるなどと……なんてけしからんのだと。 いっそこのまま計画を変更し、二人とも俺が頂いてしまおうか……などといった甘い誘惑が頭の中をよぎっていく……。 だが圭一はなんとかその誘惑を断ち切ると、クールな頭で当初の目的を推し進めていこうと考えた。 今も自分の身体にプニュプニュ、コリコリとたまらない感触を押し付けている二人の幼女の頭にポンっと手を置いていく。 「安心しろ二人とも……。 そんなことしなくても、俺は君達の体に指一本触れるつもりは……ない!」 「「…………ふぇ?」」 圭一の予想だにしない言葉に、沙都子と梨花がキョトンとした顔をする。 困惑する彼女達を安心させてやるように、圭一はそのまま頭をナデナデしてやった。 「はっはっは♪ 俺が仲間であるおまえらにそんなことするわけねぇじゃないか~♪」 そうしてナデナデしてやると、圭一は二人に安心感を植えつけるようにわざとらしい明るさを作っていった。 そのなんとも信用できない作り笑顔に、沙都子と梨花は嫌な予感を感じないはずが無かった。 「圭一は悪いネコさんじゃない……わけないのですね」 「ええ……もちろんちがいますわ、この疑わしい笑顔は。 もっとも言っていることは嘘ではないようですけど……」 圭一が自分たちの身体に触れない、という言葉自体は信用していいのかもしれない……。 だがこのスケベ男がそれ以外の卑猥なこと……。 ろくでもないことを考えているのはそのいやらしい顔を見れば明白だった。 そもそも何もする気が無いのなら、こんな人気の無い校舎裏に自分達を連れて来る必要はないのである。 スケベ王ともいえるこの前原圭一が、罰ゲームというおいしいチャンスを逃すわけがない……。 それを沙都子と梨花はこの年にしてすでに経験で知っていた。 そして二人の想像どおり圭一はクルっとその場で背後を振り返ると、すぐそばの倉庫の影あたりに声をかけていったのだ。 「お~いお前ら、そろそろ出てきていいぜ~?」 -